企業コンプライアンスの改善に取り組むJR北海道ですが、またしても驚くべき事件が起こってしまいました。
なんとJR北海道の社員が、有効期限が切れて失効してしまった免許証を期限内であるかのように偽造したというのですね。
いったいどんな理由があってそんな事をしてしまったのか、この事件の詳細について解説します。
事件の詳細は?
今回逮捕されたのは、JR北海道旭川支社に勤務する33歳社員(報道されていましたが、一応実名は伏せておきます)です。
容疑者は、2014年6月から7月にかけて、2007年に有効期限が切れた運転免許証の日付部分をパソコンで改竄し、あたかも有効期限内であるかのように偽造したコピーを作成。それを会社に提出したとのことです。
これが刑法155条の「有印公文書偽造罪」に該当するということですね。
有印公文書偽造罪の法定刑は、「1年以上10年以下の懲役」ですから、かなり重い刑罰が科されます。
ちなみに、会社に提出することになった理由は、
安全運転に関するキャンペーンの一環
とだけ報道されています。
それが具体的にどういうことなのかは、はっきりとは報じられていません。
しかし今回こうして摘発されていることから考えて、社内だけで終わるキャンペーンではなく、何かしら警察に提出する書類に必要だったのかもしれませんね。
容疑者の動機は?
さて、これほど重い刑罰が予定されている有印公文書偽造に、なぜ容疑者は手を出してしまったのでしょうか?
警察に対して容疑者は、次のように供述しているとのことです。
「期限切れが分かると怒られると思った」
正直なところ、唖然としてしまうほど稚拙な動機ですね。
「怒られたくないから、犯罪を犯す」という発想が、法治国家の人間とは思えません。
容疑者にとっては、社内で上司に怒られることの方が、犯罪者になることよりも恐ろしいのですね。
法遵守意識がまったくないというか、33歳にもなってこんな軽い気持ちで法を犯す人がいるとは呆れてしまいます。
容疑者は、「ちょっと誤魔化すだけ」という軽い気持ちで免許を偽造したのかもしれませんが、33年も生きてきて公文書偽造が悪いことだと知らなかったなんて通じませんからね。
これは同情の余地などありません。
余罪がある?
そもそも、なぜ免許失効が会社にバレると「怒られる」ことになるのでしょうか?
「免許失効」というのは更新手続きを忘れただけの話ですから、それを知られたくない理由はというと、免許失効のまま車を運転していた場合しか考えられません。
つまり、容疑者は日常的に無免許運転をしていた可能性が高いです。
免許失効から9年間も経過しているわけですから、まず間違いないと思います。
おそらく警察もそう考えて余罪を追求しているのではないでしょうか。
法遵守意識が皆無?
この事件報道から、なんとなく容疑者の意識が読み取れるような気がしますね。
そもそも免許失効なんて、期限切れから半年以内なら、理由を問わず講習を受講するだけで簡単に再取得できる仕組みになっています。
何かしらの「やむをえない理由」があれば、3年以内なら講習だけで再取得可能です。
また、半年を過ぎても1年以内なら仮免許証をすぐに交付してもらえるので、本試験を再度受験するだけで比較的簡単に免許の再取得が可能です。
にもかかわらず容疑者は、こうした簡単な手段を取らないまま免許失効状態を放置し、いざ免許が必要になったら偽造してごまかそうとしたわけです。
法律を守ろうという気持ちがまったく見受けられませんね。
「バレなければ問題ない」と考えていたのでしょうね。
JR北海道は本当に大丈夫?
このブログでは、過去にもJR北海道の社員の不祥事(刑事事件で逮捕)を紹介していますが、本当に不祥事が跡を絶たない企業だなという印象です。
関連記事⇒ 帯広のJR北海道社員が飲酒運転で追突事故
過去記事でも書いていますが、JR北海道には法律違反を顧みないような企業風土でもあるのでしょうか。
JR北海道社員の遵法意識の低さが本当に気になります。
最近は毎日のように鉄道のトラブルも起こっていますし、北海道新幹線開業に浮かれている場合ではないような気がしてなりません。
本当に、「新幹線で初の大規模事故!」みたいなことにならなければいいのですが……。
ちなみに、JR北海道の経営再建をどうやって行うべきかについて、私は再国有化もやむを得ないと思っています。
そのあたりの事情についてはこちらの記事で詳述しました。
⇒ JR北海道の赤字経営を再建するには?国有化が地方再建への鍵
ただ、国有化による経営再建というだけではなく、企業風土自体も変えていかないとまずそうですね。
【不祥事関連記事】
⇒ 警察内部にノルマと成果主義導入は矛盾?森警察署巡査長が交通違反でっち上げで懲戒免職