ファミマことファミリーマートといえば、コンビニ業界でセブン-イレブンに継ぐ第2位の店舗数を誇る大手企業です。
しかし北海道ではファミマを見ることがほとんどありません。
これは一体なぜなのでしょうか?
管理人は大学時代からずっとこの点について疑問に思ってきたのですが、つい最近になってようやく謎が解けたので、その理由を詳しく解説します。
目次
管理人の実体験
函館出身である私がファミマの存在を知ったのは、大学時代に上京したときでした。
当時の私は呑気にもこんなふうに思っていました。
「東京はコンビニが豊富だな~。ファミリーマートなんて聞いたこともないコンビニがあるぞ」
田舎者丸出しの感想ですねw
当然ですが、大学の友人たちにこの話をすると「北海道の人はファミマも知らないの?」と逆に驚かれてしまいました。
私はそのときに初めてファミリーマートなるコンビニが、本州でとてもメジャーであることを知ったのです。
ちなみに、これは函館出身者に限った話ではなく、札幌出身の友人もファミマを知らなかったと言っていました。
人口200万人近い札幌出身者が知らないくらいですから、函館が殊更に田舎なわけじゃないです(笑)
北海道出店時期の遅さが原因?
実は、ファミマが北海道に上陸したのが2006年になってからでした。
7月7日に「札幌本町1条店」がオープンしたことで、初めてファミマが北海道に出店するのです。
しかもこの札幌店出店によってファミマは、日本の全都道府県を制覇したことになります。
つまり、北海道はファミマが最後に上陸した都道府県なんですね。
存在感のなさを自虐的にアピールしている鳥取県や島根県よりも後なんです!
ちなみに、2006年だと管理人は既に大学を卒業していますから、結局大学の友人に「ファミマができたよ」と報告することはできませんでしたw
それはさておき、ファミマが北海道に少ない理由は、まさに上陸時期の遅さに由来しているようです。
それではなぜファミリーマートの北海道上陸はこれほど遅くなってしまったのでしょうか?
また、札幌出店後もなかなか道内に店舗が増えていかないのはなぜなのでしょうか?
北海道特有の配送問題
まず理由としては、北海道の広大さが挙げられます。
北海道は本州と違って都市間の距離が長い上に、道路には民家もない自然の山林などが広がっています。
ファミリーマートが出店するためには自社製品を製造するための工場が必要ですが、都市間が離れているために弁当などの製品を配送する際に困難があるのです。
工場等を都市ごとに作るのはコストが掛かり過ぎますからね。
また、都市部についても他のコンビニが出店に適した立地条件の良い場所を押さえていることも大きいです。
出店に適した土地もなく、配送コストも掛かり過ぎるとなると、ファミリーマート側が出店に二の足を踏むのもわかります。
セイコーマートとの関係
また、セイコーマートとの関係も出店が遅れた理由に含まれます。
北海道はセイコーマートという老舗コンビニが圧倒的なシェア(39%)を誇っています。
人口が少ない場所にも積極的に出店しており、ほとんど地域住民のライフラインに等しい扱いがされているほどです。
そうなるとファミマはセイコーマートの競合店として出店せざるをえないわけですが、長年地元に根ざしてきたコンビニと鎬を削るのは勝ち目が薄いですよね。
向こうは配送のノウハウやめぼしい立地条件の店舗も備えていますし、地元業者との取引も長年の実績があるわけですからね。
とはいえ、ここまでは他のコンビニチェーンであっても事情は対して変わらないはずです。
おそらく重要なのは、ファミリーマートは筆頭株主が伊藤忠商事であることですね。なぜなら、この伊藤忠商事はセイコーマートの子会社である「セイコーフレッシュフーズ」と資本関係があったのです。
となると、セイコーマートと競合する店舗をファミマが出店するのは、パイの奪い合いになってしまいます。これは株主である伊藤忠商事側としても面白くないですよね。
こうした理由から、ファミマは北海道に中々出店しようとしなかったのだと思われます。
セイコーマートと競合ではなく提携を選択
では、なぜ現在はファミリーマートが出店するようになったのでしょうか?
こうした状況が変わったのは、ファミマ側が競合ではなく提携を選んだからだと推測できます。
2006年に札幌店をオープンさせた際に、ファミマ側はセイコーマートの子会社である「株式会社丸ヨ西尾」といっしょに「北海道ファミリーマート」という合弁会社を立ち上げたのです。
北海道地域へのファミリーマートの出店にセイコーマート側を関わらせることで利益を折半する、そのかわりにファミリーマート側もセイコーマートの物流網を利用させてもらうということですね。両者に利がある提携です。
とはいえ、この提携があったとしても、セイコーマート側としては既に独占的シェアを持っている地域にファミリーマートを新規参入させるメリットはありません。それよりも独占的な影響力を保持していたほうが商売では強いからです。
そのためつい最近まで「北海道ファミリーマート」は、セイコーマートと競合しにくい札幌周辺や函館などの都市部にだけファミリーマートを展開していたのだと思います。
こういう都市部は他のコンビニチェーンも出店しているので、相対的にセイコーマートの影響力が低く、ファミマが出店しても競合が少ないという判断したのだと推測できます。
非常にセイコーマートへ気を使っているのがわかりますね。
追記:北海道ファミリーマートの持ち株比率
「北海道ファミリーマート」は、セイコーマート側が51%の株を持っていたようです。要は名前だけで実質はセイコーマート側の子会社に近い位置づけだったみたいですね。セイコーマートへの気の使い方も十分に理解できます。
セイコーマートとの提携解消で今後はファミマ出店が増える?
しかしこうした状況は2015年になって変化の兆しを見せています。
というのも、2015年3月26日に「北海道ファミリーマート」の合弁契約が解除され、セイコーマートの持ち株がファミマ側に譲渡されると発表されました。
要するに、以降は「北海道ファミリーマート」が、ファミマの完全子会社になったのです。
この背景には、ファミマがサークルKサンクスの親会社ユニーグループ・ホールディングスと経営統合することがあると思われます。
北海道にも店舗が多いサンクス側と経営統合するから、もはやセイコーマートと提携して物流網を借りたりする必要はないってことでしょうか。
推測ですが、おそらくまともに競争しても勝てる条件が整ったから、気を使うのをやめたのだと思います。
このユニーグループ・ホールディングスとの経営統合が発表されたのは2015年3月10日ですから、そのわずか16日後にセイコーマートとの合弁解消ですよ。
素早い意思決定というか、露骨な態度というかw
たしかに合理的な判断ですけど、これだけ素早いとよほど鬱憤が溜まっていたのかと邪推してしまいますね。
また、つい最近もコープさっぽろとファミリーマートとの提携が発表されました。
関連記事⇒ コープさっぽろとファミマ提携で何が変わる?
北海道内で大きな影響力を持つコープさっぽろの物流網も利用できるとなると、これは本気でセイコーマートに対抗できるとみて良さそうです。
ファミマ側も本腰を入れて北海道シェアに食い込もうとしているのでしょうね。
果たして道内のコンビニ事情はどうなっていくのか、いち道民として非常に気になります。
追記:ファミリーマートがセイコーマートに転換?
一部地域では、以前ファミリーマートだった店舗がセイコーマートに変わっている事例もあるようです。それはどうやら「北海道ファミリーマート」の直営店の一部を、セイコーマート側が引き取ったからみたいですね。
つまり、ファミリーマート側からの合弁契約解除を受け入れる代わりに、以前ファミマだった店舗の一部を譲り受けたということが真相のようです。ファミマ側の都合に合わせて持ち株を譲渡するのだから、それくらいの取引はしているわけですね。
まとめ
- ファミマが北海道に少ないのは輸送コスト等の問題と株主の意向があったから。
- セイコーマートとの競合を避け提携する方針でようやく出店可能になった(ただし、持ち株比率はセイコーマートの方が高い)。
- 今後はサンクスやコープさっぽろの物流網を利用して北海道に本格進出するのではないか。