2019年夏の参議院選挙で、自民党は柿木克弘氏を擁立せず別の2候補を支援する方針だとわかりました。
しかし柿木克弘氏は2016年の選挙において自民党からサポートを受けていましたし、2018年に行われたインターネット投票でも健闘していたはずです。なぜ彼は擁立されなかったのでしょうか?
この記事では、柿木克弘氏はいったいどういう学歴や経歴の人物なのか、どんな政治的見解の持ち主なのか、そしてなぜ2019年参議院選挙では擁立されなかったのかについて解説します。
柿木克弘氏の出身高校や大学は?
柿木克弘氏は、1968年1月26日生まれの48歳です。
出身地は北海道美唄市進徳町であり、親戚には美唄市を地盤とする国会議員がいる家系だったとのこと。
後の経歴を見ると、この親戚のコネを上手く利用してきた節があります。
高校は公立高校である北海道美唄東高等学校を卒業しています。
ちなみに、この美唄東高等学校は1999年に美唄南高等学校と統合され、さらに2011年には美唄工業高等学校と統合されたとのこと。
現在は北海道美唄尚栄高等学校になっています。
過去はどうだかわかりませんが、現在の美唄尚栄高校は受験偏差値37という、極めて入学が簡単な高校みたいですね。
国会議員の親戚がいる家庭にしては、随分珍しい高校出身だなと思います。
1986年に美唄東高校を卒業した後は、札幌大学経営学部に入学したようです。
札幌大学は名前からすると公立のようですが、実際は札幌市豊平区にキャンパスのある私立大学ですね。
札幌大学は柿木氏が卒業した後で学科の再編を行っているので、経営学部の受験偏差値は正確にはわかりません。
しかし経営学部を内部に含む「地域共創学群」という学部の受験偏差値は44だそうです。
こちらもやはり、議員家系の出身大学としてはあまり偏差値が高くない印象を受けます。
たぶん学生時代によく勉強してきたタイプの人ではないようですね。
本人も学生時代は授業よりもアルバイトばかりしていたと証言しています。
なお、柿木氏は経営学部を卒業したにもかかわらず普通に就職することもなく、以後のキャリアはすべて政治の世界のものです。
政治家を目指し始めたというのは中学生の頃だったという新聞記事もありましたし、想像ですが、大学は「大卒」という肩書をつけるためだけに行ったのかもしれませんね。
柿木克弘氏の大学卒業後の経歴は?
柿木克弘氏は1990年に大学を卒業すると、当時北海道議会議員だった伊達忠一議員の秘書になっています。
伊達忠一議員といえば、自民党の参議院議員を務めている方ですね。現在の自民党参議院幹事長ですし、2016年からは参議院議長にも就任している大物です。
また、1991年から1994年まで、当時の衆議院議員だった佐藤静雄議員の公設第2秘書を務めていたようです。
この二人はいずれも北海道出身の政治家ですし、コネがあったのかもしれませんね。
このように議員秘書として経験を積んだ後、1995年に美唄市議会議員に初当選します。
当時は27歳であり、史上最年少の美唄市議として話題になったようです。
さらに1999年には31歳で道議会議員にも当選しています。
その後、2016年6月に辞職するまでの約17年間、5期にわたって道議会議員として活動していました。
その間には自民党道連幹事長や自民党道連政調会長といった要職を務めるなど、自民党内部にしっかりと影響力を持っている様子です。
また、2015年に制定された「北海道飲酒運転根絶条例」も柿木氏が制定に向けて奔走した条例だといわれており、地方議会議員として確かな実績を残しています。
北海道の職員からは「道議会随一の政策通」として知られているということですから、政治家一筋でやってきた経験や人脈を上手く活かしている人物なのでしょうね。
柿木克弘氏の政策や政治的立場は?
柿木克弘氏の提唱する政策や政治的立場は、まさに自民党といった印象を受けます。
まず、憲法改正については時代の変化を理由に賛成しています。
改憲のハードルを下げるべきだとも述べており、まずは憲法改正プロセスを容易にしてから是が非でも改正を実現しようという意志がうかがえますね。
原子力発電所の再稼働については、はっきりと賛成の立場をとっています。
つまり、憲法改正と原発再稼動という2つの重要論点で、自民党側の立場と一致しているのですね。
このあたりが、自民党上層部が道選挙区で柿木氏を強く推していることの理由なのでしょう。
また、経済政策については、財政再建よりも景気対策のための財政出動を重視しています。
そのため公共事業による雇用確保については積極的に賛成しているようです。
これは北海道や地元である美唄市を活性化させたいという柿木氏のスタンスを考慮すると、公共事業で地元に利益を持ってきたいのかもしれませんね。
道議時代には建設常任委員長として北海道の道路整備の必要性を訴えていましたし、柿木氏の基本的な立場なのだと思います。
昔ながらの自民党議員という印象ですね。
財政出動を重視する一方で、格差是正や富裕層への課税、長期的な消費増税、赤字国債の是非といったテーマに関しては賛否を表明しておらず、財源については明言を避けています。
選挙制度改革については、次のような立場です。
被選挙権の年齢引き下げや、議員や候補者に女性を一定の割合で含めるという「クオータ制」の導入については否定的な態度です。
永住外国人の地方参政権については、明確に反対の立場を表明しています。
まあ、ただでさえ外国資本に土地を買われている北海道で永住外国人の地方参政権を認めるのはリスクがありますし、地方議員としては理解できる立場ですね。
安全保障については、防衛力強化に賛成しているものの、具体的な政策を持っているわけではなさそうです。
その他、同性婚および夫婦別姓についてははっきりと反対を表明している一方で、道徳教育の拡充や首相の靖国神社参拝については積極的に賛成しています。
なぜ2019年の参議院選挙で自民党公認候補となかったのか?
このように柿木克弘氏の経歴や政治的立場を見ると、自民党内部での影響力の大きさが分かります。自民党一筋25年以上活動してきて、地方議会議員としての実績もある人物であり、親戚も国会議員なのですからそれも当然です。自民党道連が2018年におこなった不特定多数によるインターネット投票でも高評価を得ています。
ではなぜ、これほど有力であるはずの柿木克弘氏が2019年の参議院選挙に自民党公認候補となれなかったのでしょうか?
考えられる理由は1つだけ。それは前回選挙での敗北です。
柿木克弘氏は2016年に行われた参議院選挙において、自民党から誰よりも手厚いサポートを受けていたにもかかわらず敗北してしまったのです。立候補5名、定員3名のうち第4位ですから大きな失態です。このことが尾を引いてイメージが悪くなり、公認候補になれなかったのだと思います。
強いて言うなら、インターネット投票において柿本氏への投票に組織票が多かったことも良くなかったと思います。参加者8千人程度のインターネット投票なら組織票で奮戦できたとしても、実際の選挙では浮動票を取り込めないと判断されたのでしょう。
前回の敗北が大きなダメージになっており、柿木陣営にとっては泣きっ面に蜂といった感じですね。
ここから2022年の参院選に向けて活動するのか、それとも国会議員への転身を諦めるのか、今後の動きにも注目です。