札幌で逮捕後の犯人が逃走するという事件が起こったとニュースで報じられています。
これだけ聞くと随分深刻な事態のように思えますが、実際は「ススキノ条例」違反で取り締まられたみたいです。
北海道でニュースを見ていると、この「ススキノ条例」という言葉をたまに耳にします。
そこでこの記事では、「ススキノ条例」がいったいどういう条例なのか、その目的や罰則について詳しく調べてみました。
ススキノ条例とは?
「ススキノ条例」とは、正式名称を「札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗営業等に係る勧誘行為等の防止に関する条例」といいます。
名前を見ればわかりますが、要するに風営法の強化版といった具合です。
札幌市の薄野地区は繁華街として全国的に有名な場所であり、仕事帰りのサラリーマンや観光旅行者など多くの人々が集います。
おそらく日本人でススキノという名前を聞いたことがない人は少数派だと思われるほどです。
そんな繁華街ですから、当然に風俗店なども多く存在しており、男性への客引きや卑猥なビラまき、看板設置などが多く確認されてきました。
まあ、繁華街なんてそんなものだと言ってしまえばそれまでですが、地元市民にとってはそれじゃすみませんよね。地域の品位に関わります。
それに女性に風俗店で働くように勧誘する者やAV出演の勧誘をする者まで現れるなど、現地の治安にも不安をおぼえる事態が多数起こるようになりました。
しかしこうした勧誘行為は既存の法律で取り締まることが困難だったのです。
そういう背景から制定されたのが、このススキノ条例なんですね。
条例の目的は?
この条例の第1条は、次のように目的を規定しています。
この条例は、公衆に著しく迷惑をかける風俗営業等に係る勧誘行為等を防止し、もって市民及び観光客等の安全で安心な生活環境を確保することを目的とする。
要するに、既存の法律で取り締まれない風俗店への勧誘行為をきっちり取り締まることが目的なのです。
以下で解説するように、規制内容もこの目的に沿っています。
規制内容は?
ススキノ条例の規制内容は、大きく分けて以下の三つです。
- 店員の勧誘やビデオ出演の勧誘禁止
- 店への客引き禁止
- 広告物の禁止
女性に風俗店勤務しないか、AVに出演しないかなどと勧誘する行為はすべてアウトです。
また、繁華街でよくある風俗店への客引き行為も禁止されていますね。
さらに卑猥な看板やビラなどの広告も規制されます。
こうした行為は繁華街だと非常に多いですが、それがすべて禁止となったわけです。
そしてこうした行為を他人にやらせることも、明示的に条文を定めて禁止しています。
違反への罰則は?
実行者に対する罰則は、「50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
また、常習者については、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
ススキノ条例において珍しいのは、直接の実行者よりもそれを他人にやらせる「店側」の方が重く処罰されることです。
こうした行為をやらせた者は「100万円以下の罰金」であり、常習者は「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
普通は「人に犯罪をやらせる行為(教唆)」については、せいぜい実行者(正犯者)と同じ程度の法定刑しか定められていません。
それなのに教唆犯の方が重いというのは、この手の行為について客引き等の実行者が下っ端にすぎないという実情を反映しているのでしょうね。
規制の効果は出ているのか?
ススキノ条例の効果は明らかに出ています。
観光客なんかにも、しつこい客引きがいなくなったと評判です。
繁華街の利用者側も客引きに良い印象を持っている人はいないと思うので、こうした規制は望むところだと思います。
ついでに言うと、元客引きの人と話をしたことがあります。規制が厳しくなってやりにくくなったという話を彼もしていました。現場の人が苦労しているということは、やっぱり効果が上がっているとみて間違いないのでしょうね。
私個人としても、ススキノは昔に比べて随分と利用しやくなった印象ですからね。
もっと全国的にこの手の条例が広がればいいのになと思います。
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