北海道と聞くと、広大な大地や厳しい寒さを思い浮かべる人が多いでしょう。日本の最北端に位置するこの島は、自然の豊かさや独特の魅力で知られています。他県出身者に「それどこだっけ？」と煽られることもありません。しかし、その地理や気候について、間違ったイメージを持っている人も決して少なくありません。例えば、「平坦な土地ばかり」「冬はどこでも豪雪地帯」「気候が一律で寒い」といった考えている人は割と多いです。

こうした誤解は、北海道の多様な姿を見えづらくしてしまいます。確かに寒さや雪は特徴的ですが、それだけではない魅力がたくさんあります。この記事では、道外の人が抱きがちな北海道の気候や地理に関する3つの大きな誤解を取り上げ、それぞれの真相を明らかにしていきます。

読者の皆さんが抱く疑問を解消し、意外な事実を知るきっかけになれば嬉しいです。北海道の地理や気候は、想像以上に多彩なんですよ！

誤解1：北海道は平坦な土地ばかり

北海道と聞くと、どこまでも続く平らな大地をイメージする人が多いかもしれません。テレビや写真で見る広大な畑や牧場の風景が、そう思わせる理由の一つでしょう。地平線まで続く道路とか、インパクト抜群ですからね。確かに石狩平野や十勝平野のような平坦な地域は存在します。しかし、実際の北海道は山や丘陵も多く、決して平らな土地だけではありません。いや、それどころか山岳地帯や丘陵地の方が多いです。

例えば、北海道の中央には日高山脈や大雪山系が連なっています。これらの山々は標高2000mを超える場所もあり、登山を楽しむ人々に人気です。統計によると、北海道の面積約83,424平方キロメートルのうち、山岳地帯や丘陵地が約60%を占めるとされています（出典：北海道庁ウェブサイト）。平野部は全体の40%程度に過ぎません。

札幌市周辺でも、丘陵地が広がり、住宅街が坂道に沿って建てられている様子が見られます。平坦なイメージが強い十勝地方でも、小高い丘が点在し、単調な地形とは言えないのです。このように、北海道は平野と山々が混在する多様な地形を持っています。

こうした地形の違いは、暮らしや産業にも影響を与えます。平野では酪農や畑作が盛んですが、山間部ではスキー場や温泉地が発展しています。誤解を解くと、北海道の魅力がより立体的に見えてくるでしょう。平坦な土地ばかりというイメージは、ほんの一部しか捉えていないのです。

誤解2：北海道の冬はどこでも豪雪地帯

北海道の冬と言えば、雪に埋もれた街並みを思い浮かべる人が多いはずです。「寒い＝雪がたくさん降る」というイメージは、特に降雪量の少ない地域出身者ほど持っているかと思います。しかし確かに雪の量が多い地域もありますが、全てが豪雪地帯というわけではありません。地域によって気候や降雪量が大きく異なり、一括りにするのは難しい現実があります。

例えば、日本海側に位置する小樽市やニセコ町では、冬になると大量の雪が降ります。気象庁のデータによると、小樽の年間降雪量は平均で約600cmに達する年もあるほど（出典：気象庁過去データ）。この地域では、雪かきが毎日の習慣です。しかし、太平洋側やオホーツク海側では事情が異なります。

釧路市や根室市のような東部エリアでは、降雪量がかなり減ります。釧路の年間降雪量は約150cm程度で、札幌の約500cmと比べると少ないのです（出典：気象庁）。内陸部の旭川市は寒さが厳しいものの、雪の量は日本海側ほど多くありません。この違いは、海流や風向きが影響しているためです。

要するに、気温が低いことと雪が降ることは全く別の話なのです。

住民の生活にも違いが見られます。豪雪地帯では除雪作業が欠かせませんが、雪の少ない地域ではその負担が軽減されます。こうした違いがあるからこそ観光客も、スキーを楽しみたいならニセコへ、雪の少ない冬を過ごしたいなら釧路へ、と選択肢が広がるわけですね。

北海道の冬がどこでも豪雪地帯という誤解は、地域ごとの個性を見落としてしまいます。雪の量も気候も多様で、それが北海道の面白い特徴なのです。

誤解3：北海道の気候は一律で寒い

北海道は寒い地域というイメージが強く、年中どこでも冷え込むと思われがちです。たしかに冬の平均気温は日本の都道府県で一番低くなります。しかし、だからといって道内がどこでも年中寒いわけではありません。実際には地域によって気候が大きく異なります。決して一律に寒いわけではありません。それどころか夏の暑さや地域ごとの温度差を知ると、その多様性に驚くと思います。

例えば、札幌市の夏は意外と暑くなります。気象庁のデータによると、札幌の7月平均気温は約22℃で、最高気温が30℃を超える日もあります。むしろ温暖化が進む近年では猛暑日も普通にあり、避暑目当てで札幌へ来た観光客を絶望させています。

一方、釧路市では夏でも涼しく、7月の平均気温は約17℃にとどまります。道内の天気予報で札幌が30℃を超えている日でも、釧路は20℃台ということはよくあることです。この違いは、海流や地形が影響しているのです。

また、冬の寒さも地域で異なります。内陸部の旭川市は極端に冷え込み、1月の平均気温が-7℃以下になることが多いです（出典：気象庁）。旭川市は最低気温が-20℃以下になることだって珍しくありません。ちなみに旭川は夏暑くて冬寒い土地なので、2月と8月の平均気温の差が約38℃にもなります。

一方、道南エリアの函館市では気候が穏やかで、1月の平均気温は約-2℃前後と比較的高め。函館は津軽海峡に面しており、海の影響で極寒になりにくいのです。

こうした気候の違いは、生活や産業にも影響します。札幌では夏にエアコンを使う家庭が増えている一方、釧路では霧が多くて涼しい夏が特徴となっています。函館では冬でも比較的過ごしやすい気候が、観光客にも人気の理由です。

北海道の気候が一律で寒いという誤解は、地域ごとの特徴を見逃してしまいます。寒さだけが北海道ではないのです。

まとめ

北海道の地理には、意外な一面がたくさん隠されています。「平坦な土地ばかり」という誤解は、山々や丘陵が豊富な現実によって覆されます。平野だけでなく、多様な地形がこの島の魅力を支えているのです。同様に、「冬はどこでも豪雪地帯」というイメージも、地域ごとの気候の違いを知ると納得できます。雪の量は場所によって異なり、生活や観光にも変化をもたらします。

そして、「気候が一律で寒い」という考えも、地域ごとの温度差が教えてくれる通り誤りです。夏の暖かさ（暑さ）や道南の穏やかな冬が共存する北海道の気候は、想像を超える多様性を持っています。これらの誤解を解くことで、北海道の地理や気候がどれほど豊かで面白いかが分かるでしょう。

旅行や学習のきっかけとして、この記事が役立てば幸いです。北海道の真実を知ると、次に訪れるときの見方がきっと変わります。広大で多彩なこの土地を、ぜひ自分の目で確かめてみてください。