雪合戦の公式ルールとは?国際大会の様子や戦術についても解説
- 2018/11/28
- スポーツの話題
北海道のような雪国でなくても、子供の頃に雪合戦で遊んだ人は少なくないはずです。
そんな雪合戦が今ではスポーツとして世界的に人気となっていることをご存知でしょうか?
この記事ではスポーツ雪合戦の国際公式ルールについて簡単に解説していきます。
目次
雪合戦の国際公式ルールとは?
雪合戦のルールの基本は国際公式大会用のものであってもシンプルです。
「シェルターの用意された一定の広さのコート内で、相手チームのフラッグを奪うか、相手チームより1人でも多くアウトにする(雪玉をぶつける)ことができれば勝利となる」
要約すればこれだけです。
もちろん細かく見ていけば、「1チームは何人なのか?」「コートの広さはどれくらいなのか?」、「雪玉をぶつけられた選手はどうなるのか?」「フラッグはどこに設置するのか?」「シェルターとは何か?」などなど、様々なことを決めなければなりません。
しかしこの基本さえわかっておけば、参加人数や場所を柔軟に変更してスポーツとしての雪合戦を楽しむことができます。
ルール解説動画
こちらには動画による解説があります。
以下に要点をまとめていきます。
使用するコート
(引用元:http://www.yukigassen.jp/about/rules)
雪合戦のゲームで使用するコートは、一般用とジュニア用に分かれています。
一般用は縦36m×横10mの長方形です。縦18メートル地点のセンターラインでそれぞれの陣地が別れています。
勝利条件の一つとなるフラッグは、エンドラインから8メートル離れた場所に設置されます。
子供用はコートが縦32m×横8mと狭めに設定されています。
コートの細かい位置関係は図表を参照してください。
シェルターの規格
コートにはシェルターと呼ばれる壁が設置されます。国際標準規格は長さ90cm、幅45cm、高さ90cmです。
自陣と相手チームの陣地を隔てるセンターラインに設置されるものはセンターシェルターと呼ばれます。長さが他のシェルターの2倍、180cmもあって大きいです。
センターシェルターからエンドラインに向けて3つのシェルターが設置されます。それぞれ第1、第2シェルター、そしてシャトーと呼ばれます。シャトーはフラッグの後方、自陣のバックライン内にあり、後で解説するように主にバックスの選手が隠れるために利用します。
シェルターはそれほど高さがないので、無防備に立ち上がると狙われます。山なりに雪玉を投げることで裏側に隠れた相手にぶつけるテクニックもあるので隠れるのにも注意が必要です。
詳細な位置関係は図を参照してください。
チームの構成
雪合戦はチームスポーツです。1チームの選手はフォワード4名、バックス3名で構成されます。この他に任意で監督1名とリザーブ選手2名が加えられます。
フォワードとバックスの違いは何かと言うと、競技可能なエリアが違ってきます。
- フォワード:自陣コートのバックラインより前のエリア
- バックス:コート内のすべてのエリア
フォワードは自陣バックライン内に入ることができず、そこにあるシャトーに隠れることができません。このためフォワードは主に相手コートまで出ていって攻撃に参加する選手になります。
参加者の服装
選手および監督は試合中にヘルメットを着用する義務があります。これは安全配慮のためですね。
ヘルメットのデザインや色はチームごとに自由に変えられます。普通はここで特徴を出すみたいです。
ただし審判が緑色だと決まっているので、それ以外のカラーでなければなりません。
靴については、ゴム製のもの以外のスパイクが禁止されています。これも接触したときに危ないですから当然ですね。
あとは「競技にふさわしい服装をすること」としか決められていません。仮装やコスプレを必須にする大会も、そのうち行われそうですね(もうあるのかな?)。
ゲームの勝敗
ゲームはセット制で行われます。3セット行って相手チームより取得セット数の多いチームが試合の勝者です。
各セットの勝利条件は次の2つです。
- 相手チームのフラッグを奪う
- 相手チームより1人でも多くアウトにする(雪玉をぶつける)
ノーバウンドで雪玉をぶつけられた選手はアウトになります。アウトになった選手はコートの外に出て待機です。そのセットはもう参加できません。
雪玉をぶつけられる以外にもアウトになる場合がいくつかあります。面白いのは、自分が雪玉を落としてもアウト、自チームの選手が投げた雪玉に当たってもアウトです。フレンドリーファイアには気をつけなければなりません。
制限時間内に上の勝利条件を満たしたチームがそのセットを取得できます。アウトにした人数が同数の場合、そのセットは引き分けになります。この場合、アウトにした人数分のポイントが加算されます。そして、3セット行ってもセット数に差がつかなかった場合、このポイントの多いほうが試合に勝利します。
複雑なのでシンプルにまとめるとこういうことです。
- 基本は取得セット数が多いチームの勝利
- 取得したセット数が同じなら、ポイントが多いチームの勝利
細かい反則などの国際ルールは、公式サイトを参照してください。
参考サイト:http://www.yukigassen.jp/about/rules
普通の雪合戦との違いとは?
ここからはいくつか普通の雪合戦との違いについて書いておきます。スポーツとしての雪合戦の面白さは、まさにここにあるのだと私は思います。
使用できる雪玉の制限
普通の雪合戦と大きく違うことの一つに、試合で使用できる雪玉の制限があります。
実はゲームで使用できる雪玉は1チーム1セット90個までに制限されています。しかもゲーム中に作ることはできず、競技開始前に用意された雪玉製造機を使用して作っておかなければなりません。
作成した雪玉は自陣のシャトーの裏に設置されます。試合開始後はシャトーの裏から雪玉を持っていく必要があります。
コート内移動の制限
まず、相手コートに移動できる選手は3人までとなっています。フォワードの4人全員が攻撃に参加することはできないわけですね。
また、バックスとフォワードの行動可能範囲にも違いがあります。
フォワードはシャトーの裏に移動できないので、バックスが雪玉を持ってきてくれるのを待つしかありません。
ちなみに、雪玉は地面を転がして渡すか、直接の手渡しでなければアウトになってしまうという厳しいルールがあります。投げ渡してはいけないのです。
スポーツとしての戦略性
こうした制限があるからこそ、この競技に戦略性が出ていると私は思います。たとえば、
- 雪玉の規格が統一されるので、フェアな条件で戦える。
- 雪玉の個数が限られるので、物量に任せた無駄撃ちができない。
- 雪玉を渡す方法にも制限があるので、バックスもただ隠れているだけではダメ。
- 相手コートに入れる選手数が限られているので、大人数での突撃はできない。
- 突出しすぎると狙われるので、チームメイトとの連携や支援が必須。
制限によってこうした面白さが生まれているのです。
特にバックスとフォワードの連携が大切になってくるのが良いですね。チームスポーツとしての戦略の余地が出てきます。
国際大会の様子と実際の作戦
スポーツ雪合戦の実際の試合は、YouTubeなどの動画で見ることができます。
こちらは昭和新山国際雪合戦大会の様子です。
作戦の見所としては、開始直後にセンターシェルターをどちらが確保するか、相手陣地へ突入するべきかどうか、あたりだと思います。
後方で油断しているバックスを狙ったり、複数人で同じ標的を狙うなどの戦術も有効ですね。
タイムアップ直前に、負けているチームがフラッグを取って一発逆転するために相手陣地へ突入する、という作戦も他の試合では見られました。
個人の投擲能力が劣っていても、作戦やチームワークで十分に勝ちを狙えそうなのが良いですね。
ちなみに、昭和新山国際雪合戦は世界最大の大会です。
オリンピック種目を狙えるか?
子供の頃に遊んだルールのない雪玉遊びとは違って、スポーツ雪合戦が本格的なことに驚かれたことでしょう。私も初めて知ったときには驚きました。フィンランドで欧州大会が行われていることを知ったときにはもっと驚きましたけどね。
もはや日本だけでなく世界の「Yukigassen」になっているのかもしれません。まあこれだけ競技性が高いならそれも納得です。
ここまで広まっているのなら、ぜひ冬のオリンピック競技になってほしいですね。正式種目となってほしいです。
そうすればもっと競技人口が広がりますし、そうやって知名度が上がれば「スポーツ雪合戦発祥の地」として海外向けの観光資源が増えますからね。