2015年11月に北海道上川管内占冠村にある星野リゾートトマムを買収したことで日本でも大きな話題となった中国の投資会社「上海復星集団」。
そのトップである「中国のバフェット」とも呼ばれる郭広昌董事長(中国の会社における理事長や代表取締役に相当)ですが、12月10日から連絡が取れず、失踪したのではないかという噂が飛び交っています。
一体何があったのかも気になりますが、北海道民として一番気になるのが星野リゾートトマム買収への影響ですね。
会長が失踪したことでトマムにどんな影響が起こりうるのかを考察してみます。
何が起こっているのか?
騒動の発端は、郭広昌董事長が12月10日午後から連絡を絶っているとの情報が、中国メディアで12月11日朝から一斉に報道されたことです。
しかも単なる行方不明ではなく、上海空港で中国当局に突然連行されたとの情報が飛び交っているため、現在も中国当局に拘束されているのではないかと疑われているのですね。
また、中国のツイッターに相当するSNS「微博(ウェイボー)」への郭広昌董事長の書き込みが全部削除されているという指摘もなされています。
SNSの書き込み削除というのは、いかにも国家権力が動いた感じですよね。
こうした拘束の理由としては、11月に汚職容疑で解任された上海市の艾宝俊前副市長の事件に関係があるのではないかと噂されています。
もっとも、それが汚職に関与してのこと(犯人側)なのか、それとも情報収集などの捜査協力のため(協力者側)なのかについてすら、はっきりした見解は出ていません。
出処も不明な噂なのでどこまで信じて良いのかわかりませんが、少なくともこういう噂が出るくらいに状況は混沌としているようです。
この件について会社側からの正式なコメントは出ておらず、そのことも不穏な噂に拍車をかけていると言えます。
※追記
12月11日夜に傘下企業である復星医薬が「司法機関の調査に協力している」との声明を出しました。噂は真実だったようです。ただし、犯人側なのか協力者側なのかは不明なので、事態はまだ混沌としています。
上海復星集団傘下企業の株式が取引停止!なぜ?
トップと連絡が取れず行方不明という情報が流れており、真偽不明ながら汚職に絡む逮捕説まで出ているのですから、同社はまともな事業活動など不可能だと投資家が考えてもおかしくありません。
ですから、普通ならば株価が暴落することは必至でしょう。
しかしさすがにこうした事態を見過ごせなかったのか、香港の証券取引所では、12月11日から上海復星集団傘下企業の株式取引が停止されました。
復星国際やトマム買収を行った上海豫園旅游商城などが売買停止となっています。
実は中国の証券取引所って、他の国よりも簡単に企業による「自主的な株式売買停止」を認めるんですよね。
あくまでも私の印象ですが、不利益な情報で株価が下落するのを抑えて、中国企業の傷口を小さくしようと証券取引所が動いている感じです。
まあ、中国株式市場が国家権力の影響下にあるのは明らかですけどね。
こうした売買停止はいつ解除されるのかわからないので、投資家としてはかなりストレスがたまっているのではないでしょうか。
トマムリゾート買収への影響は?
そもそもトマムリゾート買収は11月11日に発表されました。
それまで「星野リゾートトマム」の株式は、オランダで登記しているアメリカ系投資ファンドが80%、星野リゾートが20%保有している状態でした。
これら全株式を上海豫園旅游商城が新設する日本法人が約183億円で買収し、運営だけを星野リゾートにそのまま委託するという契約です。
これによって、12月1日からトマムリゾートの所有権は完全に上海豫園旅游商城側に移転しています。
つまり、トマムリゾート買収についてはすでに完全に終わった話であり、買収自体はもう完了しているのですね。
したがって、基本的に今回の騒動によるトマムリゾート買収への影響はありません。
ただし、影響が出る可能性があるとすれば、株式の売買契約で代金をまだ支払っていない場合です。
今回の騒動で上海復星集団傘下企業の株価が下落して経営状態が悪化することになれば、下手をすると代金の回収ができなくなるかもしれません。
星野リゾートの分は183億円の20%なので、単純計算すれば36億円ほどですね。これが回収できなくなると痛いですよね。
また、そうじゃなくても同社の経営状態が悪化することになれば、トマムリゾートの所有権を手放す事になるかもしれません。
そうなった場合に、星野リゾート側の運営方針と対立するような計画を持ったオーナーが現れるケースも考えられますね。
おそらくトマムリゾートへの影響という意味では、この別のオーナーが出てくるケースが一番荒れると思われます。
おわりに
長々と書いてきましたが、トマムリゾート買収そのものへの影響はないと思います。ただし、場合によっては運営に影響が出るケースも考えられるということです。
もちろん、今回の騒動がそこまで致命的な経営状態悪化に繋がるとは限りません。
私のこの予想が外れる可能性は十分にあります。あくまでも専門家ではないいちブロガーの予想だと思ってください。