開業を間近に控えて試験走行が繰り返されている北海道新幹線ですが、安全対策に不安を感じさせる出来事が起こりました。
北斗市の新幹線用の線路に無線飛行機が落下して試験走行が中断したというのですね。
いったいなにが起こったのかについて解説するとともに、再発防止するにはどうすればいいのかについて考えてみます。
何が起こったのか?
この事態が発生したのは、2月7日正午ごろのことです。
北斗市内に住む60代男性が、自分の操縦していた無線小型飛行機が風にあおられて北海道新幹線の高架線路内に落下してしまったと警察に通報しました。
現場は北斗市添山であり、新函館北斗駅から南西に約12キロほどの地点とのこと。
駅からは随分と距離がありますが、線路は近かったのでしょうか?
なお、この落下した小型飛行機のサイズなどは次のように報じられています。
全長約60センチ、主翼の幅約80センチ、重さ約500グラム。
発泡スチロールなどで作られたセスナ型の飛行機。
大きさと比較すると結構軽いですね。
だから風にあおられやすかったのかもしれません。
撮影用ドローンの落下事件は最近多いですが、この飛行機にはカメラなどは付いておらず、男性は元々無線飛行機を飛ばすのが趣味だったとのこと。
この落下で小型飛行機はバラバラになり、残骸が線路上で見つかりましたが、幸いにも新幹線の車体への接触などはなく、直接的な被害はありませんでした。
しかし新幹線は当時試験走行中であり、運転手からも落下が目撃できたということなので、一歩間違えれば大事故になっていたかもしれません。
少なくとも、開業後にこのような事故があれば、新幹線の遅延等の損失は莫大なものになるはずです。
現場は飛行禁止区域ではなかった?
最近のドローン落下事故の多発を受けて航空法が改正され、2015年12月10日からは飛行禁止空域などが厳格に設定されました。
具体的には以下の空域での飛行が原則禁止となります。
- 150メートル以上の高さの空域
- 空港等の周辺の上空
- 人口集中地区の上空
こうした禁止空域での飛行には、事前に許可が必要になるわけです。
では今回のケースではどうだったのかというと、実はこの男性が操縦していた場所は禁止空域に該当しないのです。
飛ばしていた高度も低く、付近に空港等もありません。
地図を見れば住宅街からもかなり離れていることがわかります。
このように、条件だけ見れば問題なく無線飛行機を飛ばして楽しんで良い場所なのです。
とはいえ、このまま何もせずに放置すれば、今回のような線路上への落下事故が再び起こり、今度は大事故に繋がる危険性もあります。
やはり何らかの安全対策を行うべきでしょう。
再発防止のためにどんな対策をすべきか?
そもそも強風にあおられて無線飛行機が落下することは、普通に考えてよくある事態です。
そうであるなら、落下したときに大事故に繋がりやすい線路付近では、基本的に無線飛行機を飛ばすべきではないと私は思います。
たしかに何でもかんでも禁止するのは大問題ですが、かといって大事故に繋がりやすい危険な場所での飛行を野放しにする理由はありません。
改正航空法はこの点でやや不徹底だったのではないでしょうか。
もっとも、再び航空法を改正するとなると手間が大きすぎます。
当面は北斗市の条例で線路付近での非行を禁止すればいいのではないでしょうか。
まあ、これは行政の側の対策です。
JR北海道側としても安全対策を何かしら行う必要はあると思います。
とはいえ、一企業が人々に対して強制力ある命令をすることはできませんから、現実的なのはせいぜい「線路付近の飛行がいかに危険か」を啓発するキャンペーンを行うことくらいでしょうか。
そういう啓発キャンペーンで飛行機操縦者に自粛してもらいつつ、行政にはたらきかけて法的な解決策を検討してもらうくらいしかできないと思います。
おわりに
今回は大したことがありませんでしたが、それは運が良かっただけだと思います。
事故を未然に防止するためにも、無線飛行機所有者には飛ばす場所をよく選んで欲しいですし、問題ない区域でも危険な場所については地元自治体が周知徹底して欲しいものです。
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