最終更新日:2018/12/12
最近では各都道府県のご当地ネタを扱う番組や書籍も多いので割と有名な話ですが、北海道は正月よりも大晦日のほうが盛り上がるんですよね。
私の実家では大晦日に親戚一同が集まることになっており、正月よりも祝賀ムードになっていました。
料理も大晦日に刺し身やカニ等のご馳走を食べることが多く、その中におせち料理も並ぶといった具合です。
しかし北海道以外の出身者と会話すると、大晦日にご馳走を食べるという人を見たことがありません。
では、この風習は北海道だけなのでしょうか。だとしたら理由は何なのでしょうか。
気になったので調べてみました。
大晦日の食事がおせち料理なのは北海道だけ?
私は函館出身者なのですが、大晦日の夜は「年取り」の宴会を毎年行っていました。
近隣に住んでいる親戚が一同に会して、日没後からおせち料理を食べ始めるわけです。年によっては、釧路や帯広、札幌の方から親戚が遊びに来ることもありました。年に一度、親戚が集まる催しという印象でした。
こうした風習は北海道だけなのでしょうか?
調べてみたところ、大晦日からご馳走を食べる家庭はそれほど珍しくもないようです。
おせち料理を大晦日から食べる風趣についても、北海道以外に青森県など東北地方でも多く見られるようですね。
まあ、函館をはじめ北海道民のルーツは東北の人が多いですからね。割と伝統的な風習は東北の影響を受けているものが多い気がします。その意味では、大晦日の風習が東北と類似していても不思議ではありません。
ただし、東北以外の地方では、おせちを大晦日から食べ始めることはあまりないです。北海道や東北の人たちだけが大晦日から宴会を始めるのですね。
これだけ聞くと、「北海道や東北の人たちがせっかちなだけじゃない?」と思われそうですが、もちろんそんなことはありません。
実は、こうした風習には歴史的な理由があるのです。
由来は「年取り膳」の習慣
大晦日の晩からおせち料理を食べ始めることを「年取り膳」と呼ぶそうです。
先ほど述べたように、私の実家では大晦日の宴会を「年取り」と呼んでいたのですが、年取りのときに食べるから「年取り膳」なのでしょうね。
「年取り」はかつて日本で旧暦が用いられていたことの名残だそうです。
そもそも「年取り」とは、新年を迎えるための儀式のことです。その儀式が始まるのは、新年になってから。では、新年はいつから始まるのでしょうか?
私達現代人の感覚だと、新年の始まりは1月1日の午前0時からですよね。日付が変わってからです。
ところが、旧暦では違います。
旧暦では日没によって1日が始まるので、12月31日の日没をもって「正月」がスタートします。
そのため大晦日の晩は、旧暦だと既に正月になっているのですから、おせち料理を食べても問題ないわけです。理屈が通っていますね。
北海道と東北地方には、この旧暦における「年取り膳」の風習が根強く残っているのですね。
決して私たち道産子や東北の人たちがせっかちだからではないのです。
おせち料理は大晦日から食べるのが正しい?
こうした由来を考えると、「年取り膳」に対する見方が変わってきますよね。
つまり、かつては日本中で旧暦が用いられてきたわけですから、歴史的な正統性を考えればおせち料理は大晦日の晩から食べ始めるのが正しいとも言えるのです。
北海道や東北がおかしいのではなく、その他の地域が伝統を忘れてしまっただけだといえます。
まあ、もちろんこれは極端な話です。現在は旧暦の正月を祝ったりしていないのですから、そこだけかつての風習に合わせる理由もないでしょうからね(笑)
ちなみに、北海道では七夕祭りやお盆も旧暦で祝ったりします。ちょっと意外かもしれませんが、きちんと一貫性があるのです。
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北海道は他の地域に比べて歴史が浅いという印象を持たれがちですけど、実は割と古い伝統を守っていたりするんですよね。
故郷から開拓のために入植した人たちが多いので、故郷の風習を忘れずに守ろうとしたのかもしれませんね。
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