北海道ではクリスマスが終了した頃になるとスーパー等に出現するお菓子があります。
それが「口取り菓子」です。
子供の頃はこれが何よりも楽しみでしたし、一人でたくさん食べてはよく怒られていました(笑)
そんな思い出がある口取り菓子ですが、正月にこれを食べる習慣があるのは北海道と青森の一部だけみたいなんですね。
そこで北海道の正月に欠かせない「口取り菓子」の意味や由来を紹介します。
口取り菓子とは?その意味は?
北海道における「口取り菓子」とは、おせち料理の縁起物に似せた正月に食べる和菓子のことです。
正月前に神棚にお供えしておき、食べる前に下ろす「お供え物」でもあります。
基本的には白あんを使った煉り切り菓子であり、鯛や海老を模したものが入っているのが普通ですね。
一般的に「口取り」といえば口取り肴の略であり、会席料理の種類のひとつで最初にお皿に盛って出す料理のことです。おせち料理では、黒豆、数の子、ごまめ等がこれに当たります。
しかし北海道でただ「口取り」といえば、口取り菓子のことを意味するので注意が必要です。
また、東京の方で「口取り菓子」というと、お茶会で茶を飲む前に出すお菓子のことを言ったりもします。こちらのほうが有名かもしれません。
ですが北海道ではお茶菓子というよりも、正月に食べる縁起物を意味しています。
北海道のスーパーでは年末になると店頭に出現するので、小学生の頃はこれとお年玉だけが正月の楽しみでしたね。
管理人は昔、これが北海道だけの習慣だとは知りませんでした。そのため大学時代に東京で口取り菓子を探したものの、どこのスーパーにも売っておらず困惑したこともありますw
私が今年購入したのはスーパーで売っている一番安いグレードのものですが、本格的な和菓子店が製造販売しているものは、重箱に入っていて本当に豪華です。一度だけ食べたことがありますけど、感動しましたw
内容としては、ピンク色の鯛とオレンジ色の海老の組み合わせがデフォルトで入っており、あとは値段に合わせて品数が増えていく感じです。この2つはおせち料理の定番だからかもしれません。
なぜかおせち料理とは関係のない羊羹も入っている場合が多いのですが、あれはひょっとしたら黒豆の黒色を模しているのかな?
その他にも栗きんとんが入っている場合もありますね。
口取り菓子の由来は?
北海道における「口取り菓子」の由来については、専門家もはっきりしたことはわかっていないようです。
少なくとも戦前からある習慣なのはたしかだといえますが、いつからあるのかについては誰も知らないというところが正確みたいですね。
まあ、北海道の風習というのは日本全国からの移住者が各地の出身地の習慣を持ち込んでごちゃまぜにした物が多いので、正確な起源を同定することは困難なことが多いですからね。
北海道は自然が厳しいので習慣を形骸化し、合理的に済ませてしまうことも多いです。
お葬式の香典に領収書を出す習慣なんてまさに北海道的ですね。合理的ですが、本来の意味は形骸化してしまっている感じです。
あくまでも私の推測ですが、同じように本来神棚におせち料理をあげるのが習慣だったのに、それを形骸化させたのが由来ではないか、なんて想像をしています。
別に資料的な根拠があるわけではないので、話半分で聞いておいてくださいねw
口取り菓子の知名度が落ちている?
なんだか最近では口取り菓子をきちんと食べる家庭も減ってきているという噂もあります。
私の周囲でも、函館育ちであるにもかかわらず口取り菓子を食べたことがない人が結構いるんですよね。
お菓子として純粋に美味しいですし、あれを見れば正月が来た気分になるので買うだけの価値があると思うんですけどね。
貴重な食文化だと思うので、ぜひ将来に残してほしいものです。
なお、お正月や大晦日にまつわる北海道の食文化については、「北海道の大晦日の食事はおせち料理!理由は「年取り膳」に由来?」にて詳しく解説しました。
1月7日に食べる七草粥については、「北海道では七草粥を食べない?その理由を道民が解説」という記事に書いてあります。