北海道生活情報 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net 北海道の観光名所、地元イベントから日常生活ネタまで道民目線で情報を集めています。 Sun, 07 Mar 2021 08:45:47 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.25 暖房費を大幅に節約!ストーブが壊れても北海道の冬を乗り切れた3つの防寒方法 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/1000.html Sun, 07 Mar 2021 08:31:38 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=1000 冗談みたいに寒い日が続く中、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

管理人は北海道に住んでいますが、この冬は12月の段階から記録的な寒さに見舞われました。氷点下10度を下回るような寒さに、私の仕事部屋のFF式ストーブも連日フル稼働です。

ところがある日、このストーブが故障してしまいました。

年末で出費がかさむ中、新しいストーブを購入するのは金銭的にきついです。そこでローテクかつ金銭的負担の少ない防寒方法をいろいろと試してみたところ、暖房費を大幅に節約できる方法を発見しました!

そこでこの記事では、私が足掻いた末にたどり着いた防寒方法について紹介しようと思います。

ストーブが突然の故障!暖房の確保が急務に

冒頭にも書きましたが、ある日ストーブが壊れました。色々と試したみたのですが、まったく点火する気配がありません。どうやらご臨終のようです。まあ、20年以上稼働しているので、十分に仕事をしてくれました。

ストーブの製造年月日

まさかの95年製。25年ものだったか…

ただ、問題なのが代わりの暖房をどうするかです。すぐに思いつくのは代わりのストーブを購入することでしょう。

北海道のストーブといえばFF式が基本。FF式ストーブは長時間運用しても換気の必要がない優れもので、窓の外は猛吹雪ということも多い北海道の必需品です。ちなみに、FFというのは「forced flue(強制送気管)」の頭文字で、外気を送風機で強制的に取り込んで、燃焼後のガスを強制的に外に排気するからこの名がついています。

しかしこのFF式ストーブ、高性能だけあっていかんせん値段が高い。設置のための工事費も必要なので、小さめのサイズでも10万円以上します。さすがに予期せぬ10万円以上の出費は痛すぎです。

次に考えたのが、灯油ストーブやファンヒーター。今回暖房が壊れたのは6畳ほどの仕事部屋なので、小型のもので十分暖まります。幸いにも家に使っていない小型ファンヒーターが1台余っていたので、新しいものを購入する必要はありません。

石油ファンヒーターの写真

物置から出してきた石油ファンヒーター

しかし物置から引っ張り出して使ってみると、灯油の匂いが酷い! 点火時と消火時に発生する独特な臭気に、頭痛すらしてきます。こんなに臭かったか……

Amazonなどで売っている新型のファンヒーターなどは、臭いを抑える機構を備えているようなのですが、物置に仕舞われていたコイツがそんな素晴らしい機能を備えているはずもありません。そして新型を買う余裕もありません。嫌でもコイツを使っていくしかないわけです。

とはいえ、さすがにここまで臭いとなると常用したくはありません。使うにしても特に気温が低い日(最高気温が-5℃以下)だけに限定し、普段はファンヒーターなしで耐えしのぎたいところです。

そこで家中から使えそうなものをかき集めて、暖を取るための方法を色々と試してみることにしました。

厚着する

真っ先に試すべきなのはこれです。非常にシンプルで誰にでもすぐに実践できます。自宅の室内なので、他人の目を気にせずひたすら着込めるのがポイントですね。

私は常時4枚くらい着込んだ上にユニクロのウルトラライトダウンベスト、その上に一回り大きめのダウンベストを着込み、最後に古くなったコートを着てます。他人には見せられないような格好ですが、防寒性は良いです。

欠点は重量です。結構肩がこります。トイレに行くときも少し動きにくいです。洗濯物も少し多くなります。

ただ、欠点としてはそれくらいなので、メリットのほうが大きいです。

寝袋に入る

椅子に座ってPCの前で長時間仕事をしていると、足元から冷えてきます。これは普通のオフィスでも起こることですが、我が家の暖房なしの仕事部屋ではより深刻です。

最初は毛布を使っていたのですが、毛布は密封されていないので裏側から冷えてきます。毛布で脚全体を包んでみたのですが、脚を自由に動かせなくなるので姿勢を変えるのにも苦労します。

しかも薄手の毛布だと保温性がイマイチです。北海道の寒さに負けて、だんだんと冷えてきます。かといって厚手の毛布は布団に使っているので空きがないし、新たに購入するのも嫌です。

と、ここでヒラメキました。脚を密閉するなら、寝袋が最適じゃないかと。登山用の高いものじゃなくても、キャンプで使うことを考慮している寝袋なら、普通の毛布よりは保温性が高いはずです。

そこでさっそく、使っていなかった寝袋を引っ張り出してきました。

まず封筒型の寝袋に下半身をすっぽり入れて胸のあたりまで引き上げます。それから椅子に座って位置を調整。最後に寝袋の口を塞ぐようにコートを羽織れば、見事に下半身が密封されました!

寝袋を椅子に置いている

寝袋を椅子の上に敷き、ここから足を入れる。

これは重ね着以上に見た目が悪いのですが、保温効果は抜群です。下半身の冷えが劇的に改善されました。数時間のPC作業中も脚が寒くなりません。毛布で包むのと違って、寝袋の中で脚を自由に動かせるのも良いです。

見た目以外の欠点としては、寝袋の汚れとダメージですね。もっとも、室内を定期的に掃除していれば汚れはそこまで酷くもありませんし、キャンプで使うことを想定しているはずなので、乱暴に扱わなければそうそう破れもしないでしょう。

ネットでも寝袋が2000円以下で購入できたりするので、防災グッズとして安いやつを常備しておくのがいいかもしれませんね。

湯たんぽを使う

厚着と寝袋で保温性は高まったものの、そもそもの熱源が自分の体温だけというのは少し厳しいです。温度の減少幅を抑えることに成功したので、次は温度上昇を引き起こす熱源が必要なのです。

真っ先に思いつくのは電気ストーブですが、これを寝袋の中に入れるのは無理です。火災になります。

次に考えたのが使い捨てカイロ。これは機能的に問題ないものの、ランニングコストがかかりすぎます。さすがに仕事部屋で毎日カイロを使いまくるのは無駄が多すぎるでしょう。

ランニングコストがかからず、家にあるもので、火災の危険もなく足元を温められる……

ここで思いついたのが、湯たんぽです。

湯たんぽの写真

最強のエコ暖房アイテム、湯たんぽ。

湯たんぽならガス代と水道代だけしかかかりません。毎日使っても月100円以下です。水を居間のストーブの上で沸かせばガス代はかかりません。冷めた中身はトイレのタンクに入れれば、トイレを流すときの水量が節約できるので、水道代の増加もほとんどありません(タンクの構造上、トイレの水を流すタイミングで湯たんぽの水をタンクに入れる必要がありますが)。

熱源としての性能も優秀です。湯たんぽは、一旦お湯を入れれば朝まで温かさが持続します。つまり寝袋の足元に置いておけば、仕事中ずっと足元がポカポカするわけです。

さっそく試してみると、これが予想以上に温かい。直接接触している足の裏だけではなく、寝袋に突っ込んでいる下半身全体が暖まります。寝袋による密閉が効いているのでしょう。実に快適です。

湯たんぽはダイソー等の100均でも売っていますが、値段が200円以上する上にサイズも小さいです。私も購入してみましたが、サイズ的に冷めるのが早いですね。1~2時間は温かさが持続するので、人によっては十分かもしれませんが、大容量の湯たんぽと比較するとお湯をセットする手間が余計にかかります。手間が嫌なら最初から大きなサイズのものを選んだほうが良いかもしれません。

私は以前購入していたアイリスオーヤマの湯たんぽを利用しました。そこそこのサイズで値段も手ごろな上に、カバーまでついています。

湯たんぽのカバーの写真

湯たんぽをカバーに入れた状態。これを寝袋の足元に突っ込むと最高。

ただし、購入したのがだいぶ昔なので、現在は販売していないみたいですね。

まあ、湯たんぽならどこのメーカーでもいいと思いますw

2ヶ月以上過ごした感想

重ね着+寝袋+湯たんぽ」の防寒セットで2カ月以上過ごしていますが、かなりの効果を感じています。外気温が1℃以上なら大抵は室温10℃以上なので、特に問題なく過ごせます。まあ、道民にとって気温がプラスの日=暖かい日ですからね。

ではそれ以下の日はどうなのかというと、室温が8℃くらいだったらこのセットで問題ないです。仕事に支障が出ないレベルだと思います。

問題は室温が7℃を下回るような場合ですね。このあたりになると、コートを着ている上半身が寒くなってきます。正直、これだけ重装備ならもっと防寒性があると思っていたので意外でした。もしも外気温7℃でコートを着て歩いていたら、汗が出てくるほど暖かいのに、不思議ですね。おそらくPC作業=座り仕事で体を動かさないことが原因なのでしょうが。寝袋の中で体を意識的に動かすようにすれば、もっと低い気温でも快適に過ごせるのかもしれません。

そして室温が5℃とかになると、さすがに灯油ストーブをつけています。臭いがきついので、点火時と消火時には窓全開+サーキュレーターを駆使して全力で換気です。室温が凄まじい勢いで下がりますが、上記の通り最終的に室温10℃以上であれば余裕です。まあ、さすがに冷え切る前には窓を閉めているので、だいたい14℃ほどですね。昔は肌寒さを感じていましたが、防寒セットを装備すれば汗が出そうなくらいです。

さて、気になるのは暖房費ですね。実際にこういう生活をして暖房費はどれくらいになったのでしょうか。

湯たんぽの分は実質ゼロだとして、仕事部屋の暖房費=灯油ファンヒーターの灯油代となります。これがなんと、今冬はまだ2回しかファンヒーターに給油していません。このファンヒーターの油タンク容量は5Lなので、今冬の仕事部屋での灯油使用量は合計10Lです。灯油の店頭価格は1Lあたり約80円。

よって、仕事部屋の2カ月分の暖房費は800円です。月額400円ですね。

……自分でもビックリしました。在宅ワークで1日8時間以上はこの部屋に籠もることを考えると、ちょっと尋常じゃない数字ですね。

もちろん、家族のいる居間では普通にFF式ストーブが使われており、食事の際にはそちらで暖を取れることも影響していると思います。北海道では暖かい地域に属する函館に住んでいることも大きな要因でしょう。

しかしそうは言っても、外気温が常にマイナスな中で暖房費を大幅削減できたのですから、十分にすごいと思います。「自室で寝袋に湯たんぽを入れて上からコートを羽織る」というスタイルは誰でもできますし、費用に対して暖房効果は抜群です。

在宅ワークが増えているこのご時世ですし、暖房費節約の一環として実践してみてはいかがでしょうか。

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Suicaは北海道で使えるのか?チャージできるコンビニや利用上の注意も解説 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/961.html Tue, 18 Dec 2018 16:36:08 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=961 ここ十数年でSuicaをはじめとする交通系電子マネー(ICカード)が一気に普及しました。首都圏ではほとんどの人がSuicaを利用しています。

同じように北海道旅行中でもSuicaが使えればこんなに便利なことはないですよね。

そこでこの記事では、「北海道の、特に札幌や函館や旭川と言った人気エリアでsuicaは使えるのか?」「どこでチャージすればいいのか?」といったトピックを取り上げて解説していきます。

北海道でSuicaは使えるのか?

結論から言うと、北海道でも場所によって使える都市圏と使えない都市圏がはっきりと別れています。

2018年12月現在、札幌近郊ならば問題なくSuicaが使えます函館近郊では、使える交通機関と使えない交通機関があります。一方、旭川近郊ではまったく使えません。

北海道の交通系電子マネー普及状況

そもそもSuicaが使えるかどうかは、そのお店や交通機関が「Suicaと相互利用可能な交通系電子マネーに対応しているかどうか」によって決まります。

2018年12月現在の北海道では、KitacaSAPICAICAS nimocaという3つの交通系電子マネーが協定によってSuicaと相互利用できます。

このうちKitacaとSAPICAは札幌市内やその近郊で普及している交通系電子マネーです。そしてICAS nimocaは函館や道南地方を中心に使われている交通系電子マネーとなります。

これ以外の地域ではそもそも相互利用できる交通系電子マネーが普及していないため、Suicaを使用できません

札幌でSuicaが使えるのはどこ?

札幌の場合、以下の交通機関が電子マネーSAPICAに対応しています(参考)。

地下鉄 南北線
東西線
東豊線
バス ジェイ・アール北海道バス 札幌市内全路線
札幌市内を含む郊外路線(小樽、江別、北広島、長沼、南幌方面)
高速バス(小樽)
じょうてつ 札幌市内全路線
北海道中央バス 札幌市内全路線
札幌市内を含む郊外路線(石狩、千歳、江別方面)
小樽市内全路線および小樽近郊の郊外路線(余市方面)
高速バス(小樽、余市、岩内、積丹、ニセコ、苫小牧、室蘭、岩見沢、三笠、栗山、夕張、新千歳空港連絡バス、滝川、新十津川、留萌、富良野)
市電 全線

またJR路線の場合、以下の区間で電子マネーKitacaが使用できます。

  • 札幌~苫小牧
  • 札幌~小樽
  • 札幌~岩見沢
  • 札幌~北海道医療大学

なお、この区間には新千歳空港~札幌間も含まれます(参考)。

要は、利用者の多い札幌を中心に函館本線、千歳線、室蘭本線、札沼線、学園都市線の一部駅だけが対象です。これらの鉄道およびバスではSuicaが使えます

また、電子マネーKitaca加盟店ならば、原則としてSuicaによる支払いもできます。主な加盟店については「Suicaを北海道のコンビニでチャージできるのか?」を参照してください。

函館でSuicaが使えるのはどこ?

函館の場合、函館市電函館バスが交通系電子マネーICAS nimocaに対応しており、Suicaでの支払いもできます

ところが肝心のJR北海道の路線ではSuicaを使用できません。函館圏の鉄道には交通系電子マネーが普及していないのです。

驚くべきことですが、北海道新幹線で新函館北斗駅から函館駅まで移動しようとすると、Suicaが使えないのでわざわざ切符を購入しなければなりません。

この問題については、「はこだてライナーの運賃は?料金をSuicaやKitacaで支払えないの?」という記事で詳しく書きました。JR北海道の経営判断のヤバさを物語る一例です。

旭川やその他の地域では使えない?

悲しいことに、北海道第2の都市である旭川近郊ではSuicaが使えません。旭川空港からJRので移動するにせよ、バスで移動するにせよ、改めて切符を購入するしかないわけです。

一応バス会社では独自のICカードを発行していますが、これはSuicaと提携していないので当然使えません。

旭川市ですらこのザマですから、道内の他の地域は言わずもがなです。現状、札幌周辺と函館の市電&バスのみ対応しているわけですね。

Suicaを北海道のコンビニでチャージできるのか?

ではSuicaを北海道のコンビニでチャージできるのでしょうか。

これは大手コンビニなら問題なくチャージできます。セブンイレブンやファミリーマート、ローソンは当然として、セイコーマートでも店頭でのチャージに対応しています。このあたりは北海道ならではですね。

その他、サツドラやツルハといった北海道ならどこでも見かけるドラッグストアでも店頭でのチャージができます。電子マネーとしての支払いも可能です。

基本的にはKitaca加盟店なら対応しているので、下記のシンボルマークの表示があるかどうかで判断してください(引用元)。

Kitaca加盟店のロゴが並んでいる

Suicaのオートチャージ機能は使えないのか?

実は他の交通系電子マネーのエリア内だと、Suicaにあったオートチャージ機能が使えなくなります

ですから北海道にいる間は、残高を確認しつつ手動でチャージしなければなりません。

いちいち残高を確認するのは面倒ですが、こればかりは仕方がないかなと思います。

北海道でSuicaのカードを作ることはできるか?

相互利用できるとはいえ、あくまでも北海道内は別の電子マネーエリアです。ですから新規のカードを発行することはできません。

これはカード紛失時や故障時の再発行も道内ではできないということです。

旅行中に不備があった場合は、残念ながら地元へ戻ってから再発行を行う必要があります。

KitacaエリアとSAPICAエリアの乗り換えには使えない

注意しなければならないのは、Suicaの相互利用は電子マネーのエリアをまたいで使用することができないことです。

たとえば、Suicaを使ってKitacaエリアの路線に乗車した場合、そのままSAPICAエリアの地下鉄に乗り換えることができない、ということです。このケースでは、一旦精算してから改めて入場する必要があります。

これは意外と面倒なので、いつか改善して欲しいなと個人的には思います。

まとめ

北海道では交通系電子マネーの普及が遅れています。使えるのは札幌近郊と函館のバスおよび市電のみです。旭川ですらSuicaが使えません。旅行者にはかなり不親切ですね。

個人的には、北海道新幹線から函館駅まで移動するのにSuicaを使えないのは機会損失だと思っています。JR北海道は利用者を減らしたいのかなと不思議なくらいです。

設備投資の余裕がないのはわかりますが、電子マネー普及の波にも乗れないとなると、観光への悪影響も大きい気がするのですけどね。ままならないものです。

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北海道では七草粥を食べない?その理由を道民が解説 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/938.html Tue, 11 Dec 2018 10:22:47 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=938 正月の伝統的な料理といえば、1月7日に食べる七草粥が全国的に有名です。私の友人に関東出身者がいるのですが、彼の家ではきちんと七草粥を食べているそうです。

一方、函館出身である私は七草粥を食べたことがありません。我が家だけでなく、北海道出身の友人は皆、子供の頃に食べたことがなかったと言っています。

このように北海道では七草粥を食べる風習がないのです。

この記事ではその理由について、この伝統の由来から解説していきます。

そもそも七草粥とは?

七草粥とは、「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」の七草を細かく刻んで塩で味付けしたおかゆのことです。1月7日の朝に食べられます。

由来については諸説あるようですが、元々は古代中国の正月の風習だったのが、日本に伝わって変化したようです。当時の中国では、1月7日(人日の節句)に七種類の野菜を入れた「あつもの」を食べており、それが日本に伝わって七草粥に変化したのだとのこと。

粥を食べる理由は、「その一年の無病息災を願うため」「正月料理によって弱った胃腸を休めるため」と言われています。文献によると、平安時代からずっと行われてきた伝統ある風習です。

北海道ではなぜ七草粥を食べないのか?

土鍋に七草粥が入っている

ではなぜ北海道では、このような伝統ある風習を行わないのでしょうか?

実は単純な理由があります。かつて冬の北海道では七草を採取することが不可能だったからです。

考えてみれば当たり前の話ですが、北海道の冬は関西や関東地方とは比較にならないほど寒く、一面が雪で覆われます。正月に雪がないという事態はほぼ考えられません。そんな中で野草を採取するのは困難です。

そもそも七草の一種であるホトケノザは、北海道に生息していないのです。日本だと本州や四国、九州には生息しているようですが、北海道にはありません。

このように昔の北海道では、気候的に七草粥を食べることが不可能だったのです。そして物流も未発達だったので材料入手ができず、正月の食文化としては定着しなかったのですね。

現在は状況に変化が?

ちなみに、流通状況が劇的に改善している現在では事情が変わっています。冬の北海道でもスーパーまで足を伸ばせば、七草粥用の材料がセットで販売されているからです。他の地域から引っ越してきた人も、簡単に材料を入手できます。

ほんの10年ほど前までは、スーパーでも七草を見かけることがなかったように思います。それを考えると、輸送技術が随分進歩しているのかもしれません。

しかし肝心の道民に七草粥の習慣が定着したかというと、そんなことはありません。やはり子供の頃から食べてきたわけではないので、あえて正月に七草粥を食べようとは考えないのでしょうね。

別に普通の粥と大差ないだろうし、美味しいものでもなさそうだから、わざわざ作って食べようとは思わないなあ

これが多くの道民の率直な感想ではないでしょうか。少なくとも私はそうですね。それに正月から雪道を歩いて、スーパーまでわざわざ材料を買いに行くのは億劫です。

恵方巻きのようにゴリ押しされているわけでもありませんし、見た目もそれほど美味しくなさそうですからね。

それに1月7日には別のものを食べています。

七草粥の代わりに食べる物とは?

では、道民は1月7日の朝に特別なものを食べないのでしょうか?

これに関しては道内でも地域によって差があります。『日本の食生活全集』という地域ごとの食文化をまとめた本によれば、留萌の羽幌町焼尻島では有り合わせの野菜で粥を作るそうです。

一方、松前町では焼き餅を入れた粒あんのお汁粉を食べます。私の家庭は松前町と同じくお汁粉でしたね。

ただ北海道全体で見ると、そもそも粥を食べる習慣そのものがない地域が多いかもしれません。中途半端に採用するのではなく、一切やらないわけですね。

七草粥を食べないのは北海道だけなのか?

では、七草粥を食べない地域は北海道だけなのでしょうか?

実は全国的に見ると、七草をきちんと全部入れて粥にしていない地域もたくさんあります

たとえば東北地方は、北海道同様に雪が多く寒い地域ですから、正月に特定の野草を採取するのは困難です。そのため七草にこだわらず、7種類の具材を入れた汁物や粥、雑煮などを食べているようです。行事を行うのも1月7日ではなく1月15日です。青森県では呼び方も「けのしる」というようで、全然違いますね。

宮城県では、「ななくさがゆ」という名前でも中身が違っており、とにかく7種類の食材を入れた粥を食べるようです。

山形県では納豆汁が代わりに食べられているそうです。

石川県だとあずき入りの雑煮や鏡餅入りのぜんざいが食べられているところもあります。

沖縄県だと雑炊に豚肉が入っているようです。なんだか七草粥の「胃腸に良い」という話と少しズレている感じもしますが、料理としては一番おいしそうなのが面白いですね。

このように七草粥は地域ごとのバリエーションが豊富で、粥以外の料理を食べるところもあります。七草すべてを入れた塩味の粥を食べていなくても、取り立てて珍しくもないといえるでしょう。

まとめ

  • 北海道の気候では七草粥の材料が手に入らないので、習慣として定着しなかった。
  • 現在ではスーパーで簡単に入手できるが、わざわざ習慣として取り入れる家庭は少ない。
  • 日本全国でも七草粥には地域差があり、東北など1月7日に食べていない地域もある。

こういう地域差がある行事は調べてみると面白いですね。

ちなみに北海道の正月には、他にも独自の風習や習慣があります。このことは別の記事で紹介しました。

こうした違いが生まれた理由を考察してみると、その地方の歴史が垣間見えて面白いですね。

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雪道は4WDが必要!北海道民が四輪駆動車を購入する理由とは? https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/911.html Thu, 06 Dec 2018 07:42:01 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=911 北海道の車の主流は四輪駆動(4WD)です。道民なら誰に聞いても、「雪道を走るなら4WDがいい」と勧めてきます。

このことは数字にも現れています。たとえば、四輪駆動車が生産車両の約94%を占めるスバルの新車販売台数におけるシェアは、北海道などの雪国だと全国平均よりも遥かに高いです。北海道と全国平均を比較すると、約23%も上回っています。

なぜ北海道民はこれほどまでに4WDを購入しているのでしょうか?

雪道ではFRやFFなどの二輪駆動車(2WD)だとダメなのでしょうか?

この記事では、こうした疑問について道民目線でしっかりと解説していきます。

雪道で4WDが必要な理由とは?

結論から言うと、道民が4WD車を選ぶのは雪道での発進時にグリップ力が違うからです。2WDだとタイヤが空転してしまうような路面状況であっても、4WDなら地面をグリップしてうまく走行できます。

北海道は雪国であり、気温も非常に冷え込みます。常に0度を下回る状態です。したがって、路面状況の悪さも本州の比ではありません。「スケートリンクのように凍結した路面を走行する」ような状況が頻繁に発生するのです。

特に問題となるのが、停車状態からの発進時です。信号待ちの場合が典型例ですね。凍結路面での発進は注意しないとすぐにタイヤが空転してしまいます。停車場所が坂道だった場合は特に最悪です。スリップすると大変な事故に繋がります。

4WDはこのような場面で威力を発揮します。4つの車輪のどれかが路面をグリップすれば発進できるからです。

北海道で生活しているとすぐにわかりますが、信号待ちから発信するときにタイヤを空転させている車は結構います。信号待ちからスムーズに発進できないのは、恥ずかしいだけでなく後続車の迷惑にもなります。発進できずにモタモタしていると、すぐに後ろが渋滞するからです。雪で道路幅が狭くなっていることも多いので、後続車が安易に追い越すこともできません。結局また信号が赤に変わってしまう、なんて場面も目にします。よく観察してみると、そうした車の多くは2WD車です。

北海道で生活しているとこういうシーンはよく目にします。だからこそ北海道民は4WDを選ぶのです。

雪道に4WDは不要という意見も?

ところが世の中には、これと反対の見解を主張する人もいます。「雪道走行するときでもわざわざ4WD車にする必要はない、2WDで十分だ」というのです。

以下では、この意見について道民の立場から検討してみます。

四輪駆動(4WD)の特徴

まずは四輪駆動(4WD)の一般的な特徴を、普通の乗用車と比較して確認しておきましょう。

四輪駆動とは?

四輪駆動(4WD)とは、前輪と後輪の4つの車輪にエンジンの力を伝えて駆動する仕組みを持った自動車のことです。”4-Wheel Drive”を略して4WDと一般的に呼ばれます。欧米では、全輪駆動”all-wheel drive”(AWD)と呼ばれることもあります。

一方、普通の乗用車は二輪駆動車(2WD)が多いです。2WDは前輪また後輪のどちらか2つの車輪だけが駆動するタイプの車です。前輪が駆動するタイプをFF(”Front engine, Front drive”)、後輪が駆動するタイプをFR(”Front engine, Rear drive”)と呼びます。2WDのうち主流なのがFFです。

四輪駆動のメリット

主流であるFFと比較した場合の4WDのメリットは、悪路走破性にあります。車輪がそれぞれ駆動するので、4つのうち1つでも地面をグリップできればそれで走行できるからです。

雪道の他に泥濘地などでも効果を発揮します。

四輪駆動のデメリット

逆にFFと比較した4WDのデメリットとしては、車輪すべてに力を伝えるための構造が複雑で重量が重くなる、路面をよくグリップすることの代償として燃費が悪くなる、といった点が挙げられます。

雪道での4WD不要説の理由

以上の特徴を踏まえた上で、雪道に4WDが不要だという見解の理由を見ていきます。私が知るかぎり、ネット上には次のような意見があるようです。

  1. 燃費が悪い
  2. 除雪がしっかりされている
  3. 北海道の車すべてが4WDではない
  4. バス、タクシー、トラックは4WDではない
  5. 4WDはドライバーが過信しやすいので危険
  6. 走行中や停車するときには4WDでも意味がない

それぞれの理由について検討し、反論を加えていきます。

4WD不要説への反論

以下、不要説の詳細とそれへの反論です。

1.燃費が悪い

これは四輪駆動のデメリットとして書いた通り事実です。路面をよくグリップするということは、その分だけ大きな抵抗を受けます。ですから車体を動かすためにFFよりも多くの燃料が必要になるわけです。

しかし最近の4WD車はきちんと電子制御されており、普段はFFで動きながら、タイヤがスリップして空回りしたときだけ自動的に4WDへと切り替わる仕組みになっているのが主流です。常に四輪駆動で走るフルタイム式と比較すると、燃費の問題は10%ほど改善されています。

それに多少燃費が悪かったとしても、雪道で立ち往生する危険性を考えたら些細なデメリットです。信号待ちのたびに進まなくなるストレスに比べたら、なんてことありません。

2.除雪がしっかりされている

これを理由に挙げた人は、100%雪国暮らしの経験がない人です。レジャーでスキー場に行くくらいしか雪に接する機会がないのでしょう。雪国の実態を知らないのが丸わかりです。

北海道は四六時中雪が降っているので、200万人近い道内最大の人口を誇る札幌市ですら除雪が追いつかずに四苦八苦しています。自治体の負担する除雪費用も膨大です。除雪がしっかりされているとはとても言えません。

そもそも除雪したからって滑らなくなるわけではありません。積雪がなくてもブラックアイスバーンでツルツル路面になることはよくあります。そして雪が積もっているよりもそちらのほうが危険なのです。

3.北海道の車すべてが4WDではない

もちろんすべての車が4WDというわけではありません。それは事実です。二輪駆動のFFで生活している人もいます。

しかしそういう人が4WDを不要だと考えているわけではありません。「本当は4駆が欲しかったけど、値段が安かったから中古のFFにした」という私の父親のようなケースもあります。FFに乗って不便を感じていないわけではないのです。

実際に私の父親は、あまりに不便だったので数年後4WDへ買い替えました。私にも口を酸っぱくして「買うなら絶対4WDにしろ」と言ってきます。経験者は語る、というやつです。

4.バス、タクシー、トラックなどは四輪駆動ではない

たしかに北海道のバスやタクシー、トラックの主流は四輪駆動ではありません。これは事実ですね。

しかしこれも、便利だから二輪駆動車を運転しているわけではありません。むしろタクシー運転手などは常に愚痴をこぼしています。北海道で生活していれば分かりますが、冬場のタクシーの運転は本当に怖いですよ。頻繁に滑ってます。客商売なのに路面状況の影響をモロに受けていて、見ているだけで気の毒です。

そもそもこれらのドライバーは二種免許等を持った運転のプロです。仕事時間の多くを運転に費やしており、運転への習熟度が一般ドライバーとは比べ物になりません。運転のプロが四苦八苦しているのですから、一般ドライバーの我々は素直に4WD車を選択するべきなのです。

なお私の知人のタクシードライバーは、仕事以外だと4WDに乗っていることも付け加えておきます。

5.4WDはドライバーが過信しやすいので危険

これは4WD車のドライバーが車の性能を過信して、雪道なのに乱暴な運転を行いがちだという指摘です。これは一理あります。

北海道の雪道では、常にスリップの危険を考えて慎重に運転することが求められます。発進時にはタイヤが空回りしないようにゆっくりとアクセルを踏みますし、カーブを曲がる際にも普段よりスピードを落とさなければなりません。急ブレーキなんてもっての外です。

ところがドライバーの中には、4WDの性能を過信して、乱暴に運転する人がいるわけです。いくら悪路走破性能がいいとしても、乱暴な運転をしたらやっぱり滑って事故を起こすよ、というわけことですね。

これ自体は重要な指摘ですし異論はありませんが、だからといって4WD不要論にはつながりません危険なのはドライバーの意識であり、必要な対策はドライバーへの啓蒙です。雪道において4WDの方が優れていることと、それを過信したドライバーが事故を起こすことは全く別の問題です。

6.走行中や停車時には4WDの必要性がない

走行時の姿勢制御や停車するときのブレーキのかかり具合は、たとえ4WDでも優位性がないので無駄だという指摘です。

これはたしかにそのとおりでしょう。道民として実際に運転していますが、走行中や停車するときになにか良さを感じることはありません。

しかし北海道の雪道で4WDが必要になるのは、あくまでも発進時にスタックしないようにするためです。吹雪のときにスタックすると脱出に苦労します。それを回避するためにこそ四輪駆動車に乗るわけです。

それ以外の場面で優位性がないからといって必要性がないとはいえませんし、道民は別にそんな効果を期待して四駆を購入しているわけではありません。

まとめ

4WDは特に滑りやすい路面での発進時に、通常のFF車よりも路面をグリップしてくれます。両方を乗り比べればその違いは明白です。北海道でやむを得ず2WD車を運転している人でも、可能なら4WDにしたいと考えています。

それがわかっているからこそ北海道民は優先的に4WDを購入するし、他人にも勧めるわけです。4WD不要説は雪国の路面状況を知らない人の戯言だと思います。

なお、以上のことはスタッドレスタイヤを付けていることが当然の前提です。北海道民で冬場にスタッドレスタイヤに変えない人は存在しません。スタッドレスタイヤとタイヤチェーンについては、こちらの記事でも取り上げています。

⇒ チェーン規制時にスタッドレスではダメ?北海道民が着用義務化に困惑する理由

もちろん今現在FF車を運転している人に対して、「2WDはまったく使えないからすぐに買い換えろ!」とまでは言いません。さすがにコストが大きすぎますから。とはいえ、どちらが便利なのかは明白です。

現在人の生活に冷蔵庫が必要なのと一緒です。ライフスタイルによっては「自炊しないから冷蔵庫など不要!」という人もいるでしょう。しかし、大抵の人にとってはあった方が便利だし、他人にも勧めます。そういうことです。

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エサンベ鼻北小島が猿払村沖から消失?その原因と領海縮小後の対応を考察 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/902.html Mon, 03 Dec 2018 08:02:25 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=902 現在、日本の領海が狭くなるかもしれないというニュースが流れています。

日本は島国ですから国土全体を海に囲まれています。そのため経済的にも安全保障的にも領海の広さは死活問題です。

このような問題が浮上した原因は、北海道にある無人島「エサンベ鼻北小島」にあります。この島が消失した可能性があると報告されたのです。

島が消失するとはいったいどういうことなでしょうか?

この記事では無人島消失の原因と、それによって領海が縮小した場合の対応について解説したいと思います。

エサンベ鼻北小島とは?

エサンベ鼻北小島とは、北海道猿払村沖にある無人島です。平均海面から1.4mの高さがあることが、1987年(昭和62年)の測量によって確認されました。

この島の存在は昔から知られていましたが、名前がついたのは比較的最近のことです。2009年に決まった「海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針」に従って、2014年になってから名称が決定されました。

これは中国の海洋進出の影響や隣国との領土問題などが起こり、領海の範囲確定と無人島の日本領への帰属を明確化する必要が強まったからだと思います。

ちなみに島の定義について、国連海洋法条約121条は以下のように規定しています。

第121条 島の制度
1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、満潮時においても水面上にあるものをいう。
2 3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
3 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

つまり、このような「島」と呼べるためには、次の条件を満たしている必要があります。

  • 自然に形成された陸地
  • 水に囲まれている
  • 満潮時にも水面上にある

もしも満潮時に島が水没していたならば、3番目を満たさないので「島」とは認められなくなります。その分だけ、日本の領海も狭くなります。

エサンベ鼻北小島の地図上の場所

次にエサンベ鼻北小島の場所を確認しておきましょう。

島の場所は北海道猿払村沖約500m地点になります。地図上では下記の地点ですね。

エサンベ鼻北小島の面積は?

1987年に測量された時点で、面積は約330平方メートルでした。我々に馴染みのある土地の単位に換算すると、約100坪=約200畳ですね。

畳200枚分ともなれば相当な広さに感じます。100坪の土地があれば普通に家が立ちますね。

私の周りでは「単なる岩だったんじゃないの?」なんて言っている人もいましたが、家が立つレベルの広さならば、単なる岩だとはとても言えないように思います。海図や国土地理院の地図に掲載されるに足るだけの規模があったのです。

エサンベ鼻北小島が消失した原因は?

現在はまだ消失したことが確認されたわけではないものの、2018年に入ってからは「発見できなかった」という証言が続々と出てきています。地域住民から通報が入るくらいですから、陸地からはまったく見えないのでしょう。

さらに、2018年11月1日には第1管区海上保安本部が航空機から目視したが確認できなかったそうです。ですから、消失している可能性は高いと思われます。

ではいったいなぜ、一つの無人島が消失してしまったのでしょうか?

原因として考えられるのは、波や流氷による侵食です。

猿払村沖は北海道の北端に近く、毎年冬には流氷がやってきます。この流氷による侵食で海上にあった陸地部分が削り取られてしまった、ということです。

観光資源として貴重な流氷ですが、こういう事態になるととても恨めしい存在に変わりますね。日本の領海を削り取るとは……。

領海が減ると何がまずいのか?

ここで次のような疑問を持つ方がいるかも知れません。

「領海が減ると何がまずいの?」

この疑問についてはっきりさせておきます。

まず領海は主権の及ぶ範囲です。日本の法律が適用されますし、外国の船舶は許可なく入ることができません。要は日本の支配領域です。これは単に海上だけでなく、その上空も含まれます

これが狭まると、外国の船舶や航空機が自由に入れる範囲が広がる=日本の陸地に接近可能になるわけです。平時ならまだしも、日本に敵対的な勢力が存在する場合、その勢力が日本を攻撃することが容易になります。これが安全保障上大きな問題であることは自明ですよね。

また島の消失による領海縮小は、同時に排他的経済水域の縮小も意味します。

領海や排他的経済水域内では、沿岸国が自由に海中資源や海底・地下資源を開発活用することができます。その範囲が狭まることは、漁業や資源開発に制限をかけられるようなものです。これは経済的な打撃になります。

エサンベ鼻北小島は猿払村沖500mという話ですから、日本の主権の及ぶ領域や資源開発可能な領域が500mも狭まるということです。

無人島が1つ消えることのインパクトがおわかりいただけるかと思います。

今後の対応策は?

今回の事態を受けて、小樽の第1管区海上保安本部は流氷がなくなる時期まで待ってから、改めて測量を行う予定だそうです。今の時期だと流氷が邪魔で測量できないのですね。

もちろん測量はやるべきです。もしも満潮時に見えなくなるだけで、低潮時には海面に出ているのであれば、「低潮高地」として領海の範囲を決める起点に用いることができます。

国連海洋法条約13条1項は次のように定めています。

第13条 低潮高地
低潮高地とは、自転に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するものをいう。低潮高地の全部又は一部か本土又は島から領海の幅を超えない距離にあるときは、その低潮線は、領海の幅を測定するための基線として用いることができる。

要するに、陸地に近くて低潮時には海面に出ているならば、「領海の幅を測定するための基線として用いる」ことができるのですね。これが認められれば領海の範囲が狭まらないかもしれません。

しかしそれだけでは足りません。必要ならば保全策を実施する必要があるかと思います。

それもエサンベ鼻北小島だけではありません。

他の「日本の排他的経済水域等の外縁を根拠付ける離島」についても、このような消失が起こっていないかを確認しなければならないでしょう。その上で消失の危険性のある無人島については、早急に保全策を実施しなければならない。

現在、北海道地域に属している「日本の排他的経済水域等の外縁を根拠付ける離島」は、エサンベ鼻北小島以外に14あります。


引用元:領海の外縁を根拠付ける離島の地図及び海図に記載する名称の決定について

直接流氷の影響を受けそうなのはエサンベ鼻北小島くらいですが、波による侵食はどこでも起こりえます。そして起こってからでは遅いのです。

もちろん、これくらいのことは日本政府もわかっています。にもかかわらず手を付けられなかったのは、優先順位と予算の問題でしょう。

理屈としては、陸地からもっと離れている場所にある島のほうが領海の範囲を最大化します。ですからエサンベ鼻北小島は後回しにされていたのだと思います。

しかしこういう事態が起こっては、もはや先延ばしにするべきではないでしょう。他の地域も含めて、速やかに予算をかけてでも保全策を実行すべきです

まとめ

  • エサンベ鼻北小島は領海や排他的経済水域を決める基点となる島。
  • 消失の原因は流氷と波による侵食の可能性が高い。
  • 他の無人島も確認し、必要なら保全措置を取る必要がある。

本当に予算をかけるべきなのは、こういう場所だと思います。もちろん他の経済政策なども重要ですが、無人島は一度失ったら元に戻らないので緊急度が高いです。

問題は山積みですが、ひとつずつ解決していくしかありません。

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ジュエリーアイスとは?撮影できる時間や場所、注意点のまとめ https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/876.html Wed, 28 Nov 2018 23:23:13 +0000 https://xn--djrq2jhuioun4o6b.net/?p=876 最近冬の時期にツイッター等のSNSで話題になる北海道関連のトピックとして、「ジュエリーアイス」というものがあります。

SNSを中心に知名度も高まってきていますが、まだまだ大手メディアに取り上げられることは少ない印象です。

そこでこの記事では、北海道の新たな観光スポットとなりそうな「ジュエリーアイス」について、役立つ情報をまとめてみることにします。

ジュエリーアイスとは?

そもそもジュエリーアイスとは一体何なのでしょうか?

これは名前の通り、透明で透き通った氷の塊です。この透明度の高い氷の塊に朝日や夕日が反射して幻想的な光景を演出してくれることから、もともと一部の写真家の間で話題になっていました。それが昨今のSNSでの口コミから人気に火がつき、徐々に広まってきたわけですね。

こちらで動画が見られます。

ちなみに、一口にジュエリーアイスといっても、「氷そのもの」を指している場合と、「それに太陽光が反射するという自然現象」を表している場合があります。氷そのものを話題にしているのか、被写体としての自然現象を話題にしているのかに注意しておいたほうが無難です。

流氷との違いは?

しかしただの氷であるなら、普通の流氷とはどう違うのでしょうか?

一般的な流氷はオホーツク海北岸から北海道へ流れ着いたものを指します。普通はアザラシが上に乗ったりできるくらいにサイズが大きく、見た目も真っ白です。見ていて自然の雄大さを感じます。

これに対してジュエリーアイスは、十勝川の水が凍って太平洋に流れ出た後に河口に打ち上げられたものです。このためサイズは流氷ほど大きくありません。アザラシも乗れません。形も独特で、河口に流れ着くまでに角が取れて丸みを帯びています。川の氷だからなのか透明度も高く、まるで人工物のような繊細さを感じます。これぞフォトジェニックというやつですね。

「ジュエリーアイス」の命名の由来は?なぜ英語?

ところで「ジュエリーアイス」という名前を聞くと、英語名なのが微妙に気にならないでしょうか。英語圏で普通に名前のある現象なのかな、と。

安心してください。この現象は十勝川河口に面した大津海岸特有のものですから、別に英語名としてあったものを流用しているわけではありません。

実はこの名称は、豊頃町出身で帯広の英語学校にて校長を務めている浦島久さんという方が名付けたのだそうです。英語名なのは英語学校の方だからなんですね。ドイツ語学校の方なら「エーデルシュタインアイス」になっていたのかも……冗談です。

命名者の浦島久さんは、ジュエリーアイスをテーマにした写真集も出版しています。Amazonで調べたところ星5つの評価でした。本職は教育者のようですが、写真家としてもなかなかの腕前の方みたいですね。

ちなみにこの「ジュエリーアイス」という名称は、2018年に豊頃町によって商標登録されました。これは別に町が独占しようとしているわけではありません。むしろ逆で、営利企業に勝手に登録されそうになったので、それに対抗するために出願したのが真相のようです。特定企業に縛られずに貴重な観光資源を盛り上げてほしい、という担当者の思いが伝わってきますね。というか、なぜ企業は勝手に商標登録しようとしたのか……

ジュエリーアイスが撮影できる時期と時間帯はいつ?

では、ジュエリーアイスが撮影できる時期と時間帯はいつなのでしょうか?

当然ですが撮影可能になる時期は、十勝川が凍る時期です。それは冬の寒さがいちばん厳しくなる頃、つまり1月中旬から2月下旬になります。もちろん年度によって多少のズレはありますが、概ねこの期間が見頃だと言えましょう。

ちなみに、2018年は3月に入ってもまだジュエリーアイスが見られたようです。3月にしか時間が取れないという人も、一縷の望みにかけて北海道旅行に来てみてはいかがでしょうか。

なおシーズン中は、豊頃町の公式サイトの特設ページから、海岸の様子を移した写真が見られたりします。「まだ見られるのか気になる!」という人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

⇒ 豊頃町の新絶景/ジュエリーアイス

撮影に適した時間帯については、早朝の朝日が登っている途中。それと夕日が沈む頃ですね。日没時と日昇時の変化を撮影するなら、写真ではなく動画にするのも手かもしれません。

ジュエリーアイスの撮影に適した場所は?

ジュエリーアイスの撮影に適した場所としては、十勝川河口の横に広がる大津海岸沿いの砂浜が挙げられます。大津漁港までいくと見られません。十勝川の方に近い方の砂浜ならだいたい見られるかと思います。

大津海岸までのアクセス方法は?

大津海岸までアクセスするには、まず豊頃町まで移動する必要があります。しかし札幌から豊頃町までは、道東自動車道を使っても3時間40分、帯広からでも車で40分かかります。

また注意しなければならないのは、中心部であるJR豊頃駅から大津海岸までは約20kmも距離があるということです。徒歩での移動は不可能ですし、車であっても冬道を30分近く走らなければなりません。

ジュエリーアイスの撮影場所は、意外と過酷な位置にあります。

ジュエリーアイス撮影時の注意点は?

撮影時の注意点ですが、これはいくつかあります。

車での移動が必須

アクセスの不便さとも関連しますが、ジュエリーアイスを個人で撮影しようとするなら、自動車での移動は必須です。JRで豊頃町まで移動したとしても、そこから海岸まで徒歩で移動することはまず無理です。素直にタクシーを使うか、レンタカーを借りるか、自家用車で移動するか、ですね。

なお豊頃駅周辺にはレンタカーがありませんから、借りるなら帯広空港周辺になります。飛行機で豊頃町まで見に行く人は、空港到着後にレンタカーを借りて移動するのが賢いかもしれません。

慣れない本州のドライバーが冬道を運転するのはかなりハードルが高い気もしますが……

ちなみに、北海道で冬にレンタカーを借りるならFFではなく4WDを選ぶのが無難です。その理由はこちらに書いています。

⇒ 雪道は4WDが必要!北海道民が四輪駆動車を購入する理由とは?

コンビニが周囲に存在しない

海岸から最寄りのコンビニまで20kmあります。道民のライフラインであるセイコーマートは、豊頃町には駅前にしかないんですね。

ですから食品などの補給物資をあらかじめ買い込んでおかないと、極寒の地で寒さと空腹に震えるという地獄を味わうことになります。

また、こちらのセイコーマートは24時間営業ではありません。6時~23時営業なので、深夜に駅まで買い物に戻っても閉店しています。これは本当に注意が必要です。

同様にトイレも数が少ないです。

さすがに豊頃町も観光名所としてジュエリーアイスを売り出そうとしているので、観光客向けのトイレの設置は進めています。海岸付近に24時間やっている簡易トイレがあるのはそのためです。しかし数が少ないのは間違いないので、余裕があるうちに行っておくのが無難だと思います。

防寒具による対策が必要

日没時や日の出時を見計らって撮影するとなると、どうしても気温が低い中でカメラを構える必要があります。

意外とわかっていない方もいるのですが、1月中旬から2月下旬の豊頃町は下手をするとマイナス20度を下回ってきます。平均で最低気温マイナス15度です。生半可な防寒具では太刀打ちできません。

「せっかく現地まで足を運んだのに、防寒対策が甘くて長時間留まることができなかった」

こういう感想がツイッターを見ていると意外に多い。それはとてももったいないです。

上も下も何枚も重ね着して、耳をカバーできる帽子などを用意して、手袋や使い捨てカイロも準備しておきましょう。フードの付いたダウンがあれば耳もカバーできるので良いかもしれません。マフラーなども良いですね。顔を出していると寒すぎて普通に痛いですから。

靴にも注意が必要です。冬の北海道は基本的に雪があります。除雪なんてされていません。滑るし足が雪に埋まるし、散々です。ブーツは必須だと思います。

特に雪に慣れていない人は、転倒して頭を打たないように注意してください。

撮影用のカメラやスマホの保温にも注意

このレベルの寒さになってくると、スマホなどの精密機器にも結露の危険性が出てきます。きちんと防寒しないと故障しかねません。

不用意にスマホを外に出しっぱなしにしたりしないように気をつけましょう。

同様にカメラのバッテリーにも注意が必要です。このレベルの寒さだと、カメラのバッテリーに不具合が出ることも十分に考えられます

人だけでなく精密機器についても保温を徹底してください。

海に近づきすぎない

撮影のために海に近づきすぎるのも実は危険です。なぜなら、波打ち際は水しぶきがかかるからです。

通常ならなんともないようなレベルであっても、この極寒の中で濡れてしまうのは危険です。人なら風邪を引きますし、カメラはすぐに水が凍って大変なことになります

住民に迷惑をかけない

これは一番大事なことだと思うのですが、旅行先の住民に迷惑をかけないようにしましょう。観光客のマナーが大きな問題になっている昨今、いくら配慮してもしすぎるということはありません。

海岸付近の駐車場は住宅地に近いので、下手にウロウロすると私有地に入ってしまう可能性もあります。

豊頃町の公式サイトでは、ジュエリーアイスを見に来る観光客に対して次のような注意書きをしています。

  • 私有地への立ち入り、横断はお止めください。
  • 道路及び私有地への駐車はお止めください。
  • 迷惑行為は一切お止めください。

このような注意書きが必要なほど、迷惑行為が多かったのだろうと推測できます。

自分たちがこういう行為をやられる側になったときにどう思うか。軽い気持ちで行動する前に、今一度考えてみましょう。

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